ある女医である患者さんから、
「先生ん処は、ある意味【心療歯科】ですね」
と、言われた機会がありました。
そうかもしれません。
田舎街の高松市で、こういうスタイルで開業したものですから。
当時はキチガイ扱いされたモノです。
いずれアソコは潰れるぞ!
とまで、言われていたのを、
私は、グッと我慢で、今日に至りました。
開業当初は、患者さんなぞ来る筈はありません。
予約の電話が入った時に取り損じがあってはならない!
と、電話の子機を手にして、
用をたしていた当時を思い出します。
私は、【理想の歯科医院】を創ろうと決めていました。
【確り】と【安定感】のある【歯科の王道】を行く歯科医院です。
インターネットでの【にわか知識】で見つけた治療のみ望む患者さん。
歯医者なんぞ、
何処でも一緒と、インターネットで何となく決めて来られる患者さん。
その様な方も、チラホラ見掛けるようになりました。
逆に、
探して、探して、
紹介者にお願いしてと。
どうか何とか助けて下さい!と、
そんな患者さんも大勢、お越しになられます。
前者のかたに対しては、
丁寧に丁寧に、治療方法の選択の難しさを説明します。
長時間かかって壊れた口の中です。
【簡単、迅速に治す治療方法】の落とし穴に
気づいて頂かねばなりませんから。
短気な私ですが、
歯科に於いては相当に【粘い】性格だと思います。
それでも、一向にご自身の希望を変えない方も
中には居られます。
その様な時には、私はお役にはたてません。
その患者さんのリクエストに応じる歯科医は大勢に居られますので。
一生懸命に応対しても通じない相手が居るという事実は
長い人生の中で経験してきました。
残念な気持ちにはなりますが、その様な患者さんに関しては、
数年の後に、
申し訳なさそうに戻って来られる事も、
経験上、判っています。
決して流されてはならないのが【治療方法の決定】だと思っています。
で、
頼って、頼ってお越しになられる患者さんは、
全般、歯科治療の【難症例】に加えて、
【歯科医師の不信感の塊】とまでに拗れた方ばかり。
【歯科医師不信】なのに、
何故【私の処に?】と、
思わない訳ではありません。
ただ私は確かに【歯科医師】ですが、【歯医者】だと、
そう違いを認識しながら診察に従事して過ごしてきました。
【歯医者】とは【患者さんと共に生きる者】と。
前者、後者、共に、
患者さん其々に【心】【気持ち】があります。
私は人を診ているのですから。
【歯】や【口の中】を診ると同時に、
私は患者さんの身体の中へと、
染み込み、入り込む【水】で在らねばと、考えています。
【歯】を通じて、
患者さんに【幸せ】になって欲しいと願っているからです。