全速前進


規則正しい生活を身に付かせるために、9時には床に無理矢理就かせています。

遊び盛りの娘たちです。

当然、眠くはありません。

で、私も一緒に床に就くようになりました。

情けないことに、寝付かせるつもりが、此方が眠って仕舞う始末です。

これでは大人が幼児になってしまう!これではイケない!と、

夜中に起きて、読書なり書類に目を通すのが日課となりました。

暗闇の中を娘たちの寝相の悪さに驚き、

布団をかけ直そうと、

抱き抱えて枕を敷いてやり、

顔の鼻の付け根部分をそっと触って、どの娘かを判別しています。

大きい頭で鼻筋がしっかりしているのが長女で、ちっちゃくて、やはり鼻筋の通っているのが末のマナちゃんです。

おでこが出てて、小さな鼻の頭だけが顔にくっついているのが真ん中のモモちゃんです。

孫のような幼い娘たちに囲まれて、心静かに過ごしています。

私は17の歳に、この道を志しました。

グイグイと波を掻き分けて進む帝国海軍の駆逐艦のように、歯科の道一筋で過ごしてきました。

長い年月を経て、小さな駆逐艦から大和武蔵とまでは云いませんが、

軍艦くらいの規模の大きさには育ったと思います。

少々の空爆くらいは跳ね返す強さは持っている積もりです。

今、私は更に波を呑み込む積もりで、前へ前へと速度を上げる積もりです。

前に道などはありません。

大きな大洋の中を、ただひたすら舵をしっかりと握り締めて、

全速前進あるのみです。

この歳です。

今更、自分の欠点を改めるのに苦心するよりも、

自己の利点を更に活かして社会へ、患者さんへ、家族のために

残された人生を過ごすことを第1と思っています。