至福の治療


午後から・大きな手術が・あります。

午前中は、

午後に向かって、

ウォーミングアップ程度で、

身体を・仕上げようと・考えています。

ですから、

朝の治療は、

クリーニングが・お一人。

個人トレー製作のための・歯型採りで・お一人。

で、

先週・手術した患者さんの抜糸で・お一人。

お昼休みに、

手術室をセットアップして、

午後の1時からが・今日の本番です。

心を・

真水のように、

水面に・波ひとつ・無い・心境に・至らせ、

脳裏にも・思考を無の状態に、

ソコで・初めて・麻酔に着手するのです。

メスを手に取る際には、

私は・自己の存在を・忘れます。

自分に返るのは、

縫合が終わり、

手術帽を脱いだ・瞬間です。

この時、

ド・ド・ド・と、

身体全体を・疲労感が・襲ってきます。

院長室へと・戻り、

ドカッと、

チェアーへと尻餅ついて、

葉巻に火を点け、

最初の呼気を・大きく吐いた時、

あぁ・満足した!と。

この緊張感と・弛緩の波は、

私にとってみれば、

麻薬のようなモノかも・しれません。

辞められない・のです。