カテゴリー別アーカイブ: ただの日記

心を納める

明日の手術は、

今年1番に難しいモノになるでしょう。

昨日、

息子に頼んでいたミサのCDが送られてきました。

神父さんから、

古いカセットテープを頂き、

それをCDに入れて貰ったのです。

50を半ばにして、

朝夕にお経を唱える熱心な仏教徒であった父が、

何を思ったのか?

いきなりカトリックに改修すると、

聞かされた息子ですが、

いきなりばかりの父でしたから、

あぁ、そうかい!

てな処かもしれません。

ダビングする際に、

息子も聴いたようです。

人の身体の治療に携わるってことって、

苦しんやな。

ポツンと呟いた台詞が

耳に残っています。

患者さんは自らの身体を

全面的に、

この私に預けてくれていらっしゃいます。

その気持ちに、

絶対的に、

安定した状況で、

私は応えなければなりません。

心を静めるために、

昨日からミサに参加したつもりで、

CDを聴いています。

神父さんとの会話から

水曜日の夜、

教会へと出かけ、

神父さんからの、

個人教授を受けています。

聖書に記載された奥の意味を

教えて頂いています。

インド独立の父である元ガンジー首相の話しをされました。

暴力に対し、

徹底的な抗争を選ばず、

無抵抗を貫いたことは有名な話しです。

暴力を振るう側は、

相手の人格を尊重していません。

しかし、

暴力を受けるガンジー元首相は、

相手の人格を尊重しているから、

無抵抗であったのだと。

ヒンズー教の国ですが、

ガンジー元首相が青春期の英国留学の経験から、

恐らくキリスト教の文化に触れていたことも、

その一端になっているのではと。

神父さんは続けます。

右の頬を打たれたら、

左の頬を出しなさい。

有名な言葉ですから、

先生もご存知でしょう?

私たちは、

あくまでも、

相手がどういう立場の人であれ、

相手の人格を尊重する姿勢をもつ暮らしをと。

で、

随分と昔の出来事を思い出したのです。

息子が幼稚園か小学生の頃だったでしょうか?

担任の教師から問われました。

お父さんは、どのようにお子さんに対して接して居られますか?

例えば、

息子さんと友人がトラブルになった際には、

どのような対応をお考えですか?

この会話は鮮明に記憶しています。

なぜなら、

私の幼い頃には、

友達同士の喧嘩などしょっちゅうでしたもの。

喧嘩の中から、

不条理なり力関係を、

男は学んで大きくなるんです。

ですから、

私は大いに胸を張って答えました。

殴られた、殴り返せ!

腕で負けたら、脚で蹴り飛ばせ!

脚が届かなければ、頭付きせよ。

喧嘩に負けた悔し涙を流すときもあろう。

ならば、

日々を鍛えよ!

運良く勝ったなら、水に流せ!

と、指導しております!

その教師、

眼を白黒させていたのが瞼に焼き付いています。

男が社会を歩んでゆく過程に於いては、

此方が望む望まざるに関わらず、

戦いや競争の連続です。

大きな荷物を背負う男です。

家族や従業員のために、

負ける訳にはいきません。

その考えは、

今も私は変わりません。

しかし、

私もある年齢に達しました。

度胸も付きました。

空気を発する知恵も身につきました。

戦いにならないように、

競争する状況にならぬように、

そのような環境整備を

自らに身につけたいと思っています。

旧帝国海軍の加藤友三郎大将の台詞に、

不戦艦隊という言葉が在ります。

戦たかわない艦隊。

抑止力としての艦隊。

私の日常が、

穏やかで、

平穏な心と所作であることが、

静かな暮らしの糧になると思います。

私は歯科医学にだけ、

専念して、

残された自分の使える時間を大切にしたいのです。

患者さんを大きく包んで差し上げられるように。

 

 

根管治療から学んだもの

午後の1時から始めた

下顎の第1大臼歯の根管治療。

今、

午後の4時です。

前医の被せたクラウンを外し、

根管内ポストを除去。

古い根管充填材を

丁寧に取り除き、

根管の拡大形成を終了しました。

4根管ありました。

ラバーダム防湿していますから、

患者さんも、

お口を開いたままです。

大変、お疲れ様でした。

丁度、

息子から電話が入りました。

どうやら、

悩みがある様子。

で、

今しがたの治療の話しをしてやりました。

前の先生の治療の影響も大きいんやろ?

前の先生が削り過ぎてたらどうするん?

などなど。

父を案じてくれてるんでしょう。

それなら、

もっと倹約して欲しいのですが。

息子に答えました。

父ちゃんの仕事はね、

ただひたすら丁寧に綴ること。

駄目だと決めつけないで、

決して諦めないこと。

アチコチの方向から、

何とかならないか?

探ること。

で、

必死で糸口を見つけては、

丁寧に丁寧に、

ひたすら綴る。

だから俺はネバイだろ?

先の奥歯は長く患者さんのお役にたってくれるでしょう。

ただ、

このような治療は嫌だと云う方も居られるでしょう。

だって、

歯科医師はスピードが勝負!

だなんて、

書いている方も居られる位ですから。

ただね、

3時間の根管治療って言っても、

ダラダラでは上手くいく筈ないですよ。

5分刻み位で、

手順の内容を変えて、

進めているのですよ。

で、

これは確信しています。

基礎と考え方に芯がないと駄目だとと。

ぶれないこと。

そんな話しを、

根管治療に交えて話ししてやりました。

ふ~ん。

丁寧に綴るか。

 

 

年末

忘年会のシーズンたけなわのようです。

お誘いも頂きますが、

誘って下さった方のお気を害さないように、

丁重にお断りしています。

犬を飼った責任が在りますので、

散歩を待ち望んで待っている犬たちを

その訳としています。

人と関わりあいを持つのが、

元来、好きな私です。

仕事柄、大勢の方とのご縁を頂戴します。

人との関わりから、

多くの情報を得ることができます。

現代社会において、

情報の入手は貴重な戦術となります。

ただ、

得た情報の正確さについては、

自己検証が必須ですが。

私の診療所は大きく扉を開いています。

そのことで、

メーカーの方々を含め、

大勢の人との縁を頂くのでしょう。

ですが、

酒席には足を向けないようにと。

でも、

酒席のほうが、

本音が聞けるのでは?

そのようなご意見も在ります。

それも反面、

事実だと思います。

しかし、

楽しい酒席です。

私が居ることで、

皆さんが私に気を使って下さることに

私は申し訳なく思うのです。

ですから、

時と場所が予め判っている際などには、

前日くらいにお店へ出向いて、

人数分の飲食代ていどを

お支払させて頂き、

お誘い頂いたことへの感謝の気持ちとさせて頂くのが、

私の流儀です。

そんなの大変じゃないですか?

私はそうは思いません。

私はそのように、

大人から教えて頂き、

育ちましたので。

 

 

アキラメていませんか?

もう歯を抜くしかない!

インプラントは高額で高値の華!

入れ歯じゃ噛めなくて当たり前!

これからどうなるんだろう?

私の診療所へ、

初めてお越しになられる患者さんは、

歯科医院へ受診したにも関わらず、

なかなかお口を開けてくれません。

お恥ずかしいのだそうです。

そのような光景には慣れていますので、

ここは、

とてもお悪い状態の方ばかりがお見えになられる処です。

決してお恥ずかしがられることはありませんよ。

私は歯医者ですもの。

初診の際には、

簡単にササッと、

拝見する程度にしています。

それよりも、

私は患者さんが自ら、

お話しを始めるように、

誘い水をかけるように手立てするのが常です。

なぜなら、

私自身の持つ【治療方法と云う引き出し】の数は多いのです。

どのようにして治すのかよりも、

治療のあと、

良い状態をどのように維持させるのか、

の方が、

とても大切だと考えているからです。

治療方法については、

私は患者さんと一緒に

見つけることが大切だと思うので、

患者さんの想いをしることが

1番最初に必要な足掛かり。

悩むより、

諦める前に、

ああ、良かった!

そう言われるから、

診療できるんですよ。

 

私の診療所

大勢、

新しい患者さんがお越しになられます。

誠にありがたいことなのですが、

診療できるキャパシティを考えると、

皆さんを拝見できることは不可能です。

歯で本当に困ったと云うことでの

優先順位にて、

診療所は受付ています。

以前、

お断りさせて頂いた方が居られました。

4~5回ほど診察するための、

診査のためのお時間を調整していました。

アポイント時刻を守って頂いた試しは皆無でした。

当日キャンセルや、

30分程度の遅刻は当たり前。

毎回、毎回、

ベントレー、ポルシェ、フェラーリ、マセラティなどなど、

違うお車でお越しになられておられることを

満悦なさったお顔で、

おっしゃらて居られました。

自動車好きの患者さんは大勢に居られます。

あるフェラーリのお好きな方は、

それこそオールド・ディーノから最新のモノまで、

それと普段の足としてのメルセデスのワゴン車を。

ロールスロイスでお越しの方は、

運転手さんと共にお越しになられます。

ポルシェのお好きな方は大勢いらっしゃいますが、

1台の911を大切にお使いになられて居られる方が多いようです。

皆さん、

他人には判らないほどの苦労をバネとして、

一生懸命に仕事に精を出されて居られます。

当然、

ご多忙の方ばかり。

それでも、

アポイント時刻の10分は前に、

診療所のドアが開くのが常です。

お履き物も、

玄関土間にて、

ご自身の手で、

綺麗に整えられていらっしゃいます。

このような方々は、

ご自身が治療する意味を明確にお持ちです。

治療にも協力的です。

しかし、

先の方は、

今は裕福でいらっしゃるようですが、

お車選びを観ても、

高いものが良いモノと云う価値観をお持ちのようで、

お金を支払う側が優位に立つという意識をお持ちのようです。

この方のために、

他の患者さんにご迷惑をおかけすることはできませんし、

待合室での大声での携帯電話に、

私の流儀とは大きな違いを感じた結果、

私の診療所です。

丁重に転院をお勧めさせて頂いたのです。

どうやって転院させるかって?

いつアポイントメントが採れるかどうか判らないと

申し上げ、

お電話を頂戴した際には、

生憎、今日はイッパイでございます。

いついつはどう?

あい、すみません。

その日は院長不在につき休診でございますと。

簡単でしょ?

我が儘を強くご主張なさる方も、

時たまにはお越しになられます。

診療所は治療する場であることを

お忘れなのでしょう。

また、

他の歯科医師の悪口ばかり、

程度を越してお訴えになられる方もチラホラと。

何事も完璧にはいきませんから、

このような方は、

アチラの気を少しでも害することがあれば、

こちらに非が無くても、

何を申し出されるのか判りませんので、

私は初めから手当てをご遠慮させて頂いています。

それとは逆に、

歯を本当に大切にして下さる患者さんの多いこと。

しかし、

これは当然の結果なのです。

私は歯が命です。

患者さんの側も、

歯を大切に思って下さる方が残ります。

これだけは、

セレブとか、

お金持ちとか、

社会的地位とかは

全く関係ありません。

私は歯の番人として、

いつも診療所の門は開いていますので。

 

セレブ御用達なのだそうな?

今年も新しい患者さんが多かったですね。

若い女性の患者さんも増えました。

この間、

お越しになられた女性が仰りました。

昔から先生の診療所は聞いて知ってたんですよ。

でも、

セレブ御用達の歯医者さんて聞いてて、

敷居が高くて勇気がいったんです。

何件も歯医者行ったんですが、

本当に困って、

勇気を出してきました!

私ですか?

ほぉ~?

って感じでした。

まぁ、男性の患者さんは確かに少ないですね。

確かに、

皆さん、レディだなと。

でも、

公務員の方もいらっしゃいますし、

サラリーマンの奥様も御出になられます。

ただ、

ジャージにサンダルって方は

御出になりません。

この女性は40代前半のキャリアウーマンって処でしょうか?

歯科医師たる者、

治療は勿論のことながら、

医療倫理、

生活全般、

所作、振る舞い、

紳士の嗜みが肝要だと。

あとは、

ひたすら一生懸命!

ただ、

それだけなんですけど。

 

歯科医師と云う仕事

休日でも仕事が入っているのが常ですから、

日曜日の朝のミサに参加するのは、

なかなか時間調整が大変なんです。

それでも、

なんとか調整しても出かけるのは、

心が落ち着くからです。

私の改宗を知ってか、

実は自分も洗礼を受けていたんだと云う

歯科医師の先生がチラホラ。

結構、多いのに驚いています。

それも著名な先生方です。

京都大学哲学で有名であった

西田幾太郎博士の言葉に、

真摯に仕事に向き合うと、

行き着く処、

宗教を避けることができない。

歯科医師と云う仕事の

奥の深さをつくづく感じています。

 

命のハサミ

この前に行ったのは、

お盆の頃だったと思います。

で、

昨日久しぶりに、

床屋の親父さんの顔を観て、

どうなさったの!

苦笑いで、

膵臓癌でね。

手術もできなくなってしまって。

私は言葉も出ませんでした。

長い間の付き合いでした。

6人の子宝に恵まれましたが、

皆が、

幼い頃に、

この親父さんのお世話になりました。

昨日は、

特に丁寧な仕事だったと思います。

会計を終えた時に、

頑張って、

男の最後の戦いに挑んで下さいとだけ、

それが精一杯でした。

朗らかな質の方でしたが、

悟りを感じ、

覚悟を感じ、

私は職人気質の強さを感じたのです。

 

 

 

報われない技術職

最近では正月気分も昔ほどではなくなり、

なんだ、

ただの月替わりじゃないかと思えるほど、

味気ないモノになったような気がします。

それにも関わらず、

年末は何かと気忙しい。

追い立てられるような日々を過ごしています。

新患の患者さんは多いですね。

治療の途中から引き継ぐ症例が

特に多くなりました。

自費治療の場合には、

歯科医師も其なりの

自信と覚悟が必要だと思うのですが。

ご自身の絶対的な技量と診断力不足に、

気がつかず、

無理な無謀、冒険に挑むと云うよりも、

何も考えないで、

ただ稼ぐために、

手を出すんでしょうとしか思えません。

よく例えで話しするんですが、

回転スシと伝統的江戸前鮨は、

全くちがいます。

そんなことを再認識させられる

新しい患者さんを通しての

技術職って報われないなと。