先日、初診でお越しになられた患者さんから面白いものを見せられました!
他の歯科医院での金属アレルギーの検査結果でした。
所謂パッチテストの検査結果でしたが、興味をひいたのは、
その検査項目でした。
歯科治療で使われる金属は、殆ど見当たりません!
金属には、大別すると貴金属と卑金属とに分けられます。
貴金属は金を多く含有しているもの、対して卑金属は金含有率の少ないものと考えて下さい。
歯科治療で使われる金属の中で、比較的金を多く含有しているものとして、12%の金を含有したパラジウム合金が代表的です。
この金属に対してアレルギー反応を示す患者さんは非常に稀です。
ですから、健康保険の対象として国からの認可をうけています。
この金属は合金ですので、金やパラジウムの他に多くの金属が混合されています。
先のパッチテストの検査項目には、それらの様々な金属など含んでおりませんでした。
金属の中にはアレルギーを起こしやすいものがあります。
私が驚いた理由は、歯科治療で使われる機会のまず無いにもかかわらず、アレルギーを起こしやすい金属ばかりで
検査が為されていた事です。
検査結果で、多くの陽性が示されており、当然の結果として患者さんはガッカリされておりました。
ー 貴方は金属アレルギーが多いですね!治療で金属は使えませんからオールセラミックを使いましょう!
但し、保険がきかないので、実費診療で〇〇万円になります! ー
医学を学ぶ者全てに、道徳教育を義務化すべきと考えるのは私だけでしょうか?
歯科治療と金属アレルギーの話が出たら、押さえておかなければ為らないポイントを挙げます。
1.金属アレルギーは遅延型アレルギーです。
2.パッチテストは完全ではない。
3.オールセラミッククラウンの代表選手であるジルコニアクラウンは、
見た目には金属は見えないけれども、多くの金属成分を含んでいる。
4.オールセラミッククラウンを歯に接着させる材料であるレジン成分にもアレルギー源となる場合がある。
歯科治療において私が参考にしているのは、女性が身に付ける宝飾品です。
普段に気軽に身に付けるイミテーションの宝飾品で、アレルギー反応が無ければ、ほぼ大丈夫と考えて良いでしょう。
私は健康保険の金属が悪いとは考えません。
但し、ながーい歯科医師人生を送っていると、様々な経験もしました。
患者さんの口の中に、規定から外れた廃価格の金属が入れられているのを観て、驚いた時も多かったのは事実です。
いずれにせよ、金属アレルギーに御用心!の言葉に踊らされることはありません。
歯科治療と金属アレルギーについては、新潟大学歯学部病院のものがよく説明されておりました。