予防歯科のすすめ その4.


【耳下腺唾液について】

私は歯科の治療に際して、患者さんの耳下腺唾液をとても重要視しています。

口の中は常に唾液によって湿った状態を保っています。

唾液は唾液腺という臓器によって造られます。
舌の付け根にある舌下腺。
顎の下にある顎下腺。
そして耳の前下方にある耳下腺。
これ等を大唾液腺と呼びます。
加えて、上顎の裏に多数の小唾液腺が点在しています。

通常の安静時には舌下腺、顎下腺、小唾液腺からの唾液によって
口の中は湿った状態を保っています。

食事の時や、梅干しなどの酸っぱいものをイメージした時に
ドワーと流れ出してくる刺激時唾液は耳下腺唾液です。

この耳下腺唾液はとても大切な働きをします。

人は生きていくために食事をします。
則ち、口の中に食べ物を入れます。

ここで要注意!
口の中には沢山の細菌が生活しています。
この細菌も生きていくためには栄養が必要です。
人が生きていくための食事が、細菌の絶好の栄養源となります。

人は食べ物を完全に消化し排便するまでに1日2日程度を要します。
ところが細菌は代謝が単純なために食べた瞬間に排泄します。

人の排泄物はメタンやスカトールという成分のために、あのような臭いがします。
対して、細菌のウンチは酸性成分です。

ですから、人が食べ物を口に入れた瞬間に口の中は酸性環境となるのです。

この酸に対して歯は無力です。
歯のエナメル質をもってしても溶け始めます。

人の身体は本当によく出来ています。

食べ物を咀嚼する行為が発端となりサラサラとした唾液が耳下腺から分泌され始めるのです。

この耳下腺唾液には酸性を中和させる働きがあります。
その事で酸性環境となった口の中は再び、中和されるのです。

ですが、人みんなが同じ様に多くの耳下腺唾液が出る訳ではありませんし、
酸性を中和させる能力も人それぞれです。

ですから私の診療所では患者さん皆の耳下腺唾液の質について検査して
各自の治療プログラムを作成しています。