歯医者の食道楽 その3.


 私の診療所では
初めてお越しになる患者さんへ
採血を行い、
詳細な血液検査を実地しています。

 前にもお話しさせて頂きましたが、
私の患者さんの平均年齢は68歳と云う
他の歯科医院よりは
多少、年齢層が高いと云う傾向にあります。

 人が長く生きていれば
多少のガタツキも
生じてきます。

 勿論、患者さんの中には
ご自身では気づいていなかった
思いも因らない疾患が発見出来て
喜んで頂ける場合も在りますが、
大半の方は
基礎疾患をお持ちでいない方が
稀と云うのが現状です。

 其れなりのかかりつけ医を
その歳になると
皆さんがお持ちですが、
興味深いのは
そのかかりつけ医の
技量なり考え方が
大きく違って
それぞれの処方なりに反映していると云う事です。

 血液検査の異常値の是正のための投薬より、
異常値を生じた基の基を辿って
生活習慣に迄も
向き合う医師についた患者さんは
幸運と云えるでしょう。

 私は歯科医ですので
患者さんの口腔の環境を
より良く、
そして良い状態の維持に
努めなければなりません。

 その為の指標として
生化学検査やら細菌学的検査を
実地していますが、
その検査結果のみを重視する訳ではありません。

 私はデーター間の行間を
如何に読み取るのかが
患者さんと相対する臨床家の
技量そのものだと信じています。

 私は食こそが健康の源であると
長い臨床生活で実感しています。
そして、
食べ物が最初に身体の中へと入る
器官が口腔であり、
歯の仕事に携わる者として
重い責任を感じています。

 私にとっての食は
楽しみであり、
又、
人の身体に係わる仕事をしている
人間としての
当たり前の追求対照であります。