インプラント支持型総入れ歯のメンテナンス


この患者さんは83歳女性です。

15年ほど前に治療を終えました。

下顎に2本のインプラントを埋入し、

インプラント相互を物干し竿のようなバーで連結して、

そのバーに、

総入れ歯の中に仕込んだ金属製の凹部品で、

バーを掴むことで、

総入れ歯の安定を求めています。

総入れ歯の素材と金属とは、

化学的には接着しません。

経年的な大きな噛む力と、

食べ物の化学的な刺激、

そして口腔内の温度変化などで、

金属部品周辺の維持樹脂が劣化します。

何年かに1度の割合にて、

総入れ歯の下の粘膜と総入れ歯の密着度合い、

それと、

バーと凹部分の強さの調和をはかれるように

調整する必要が在ります。

インプラントの本数を最少で済ませらますので、

治療費用の軽減がはかれますし、

身体に手術の侵襲も少しである

身体に優しい治療です。

で、

患者さんは何でも召し上がれる

有意義な治療方法なのですが、

メンテナンスが繁雑で

技術的に【一工夫】要るのが

この治療の難点です。

この調整の際に、

バーに負担が強すぎれば、

インプラントと骨の結合は失われてしまいます。

メンテナンスと言えども、

これ結構と難しいのです。

これが長年お使い頂いている総入れ歯です。

上の総入れ歯は当時のまま完璧です。

ただ私の技術は日々進歩しています。

今はもっと良くなっているのです。

少々、残念です。

下の総入れ歯に組み込まれる凹部品は

工夫しているんです。

まず部品を被う樹脂を加工して、

凹部分を先に被っておきます。

この部品が入れ歯にくっつく際には、

噛み合う力が加わってなければなりません。

ですから、

部品の真上を、

総入れ歯に穴を開けたおきます。

先ずはギュ~!と噛んで頂いて、

入れ歯と粘膜の隙間をチェック!

痩せてませんね!

薄い白いシリコン剤の膜が見えますね。

で、

金属製の凹部分を樹脂で被ったモノを

インプラント相互を連結するバーに留めます。

次いで、

その上から総入れ歯を装着し、

穴から樹脂を流し混んで固定し、

固まるまで、

上下の総入れ歯で、

ギュ~!と、

噛み合わせて頂きます。

樹脂が硬化したら、

ホラご覧の通りです。

入れ歯の中に金属製の凹部品が留まっていますね。

ギュ~と噛んだ時に、

インプラント相互を連結した金属製のバーと金属製の凹部分が

機能する仕掛けです。

あと、

凹部品がクリップになっていますから、

総入れ歯は簡単には外れませんよ。

噛み合わせも完璧!

お顔もご覧の通りです。

ほら!

大きくお口を開けて、

唄を歌ってもご覧の通り。

元気で長生きして下さいね!