技術を育てる


 旨い鮨を戴いた。
この様な旨い鮨は
今では希少となった。

 先日テレビ番組で
最近の回転寿司事情なる特集をやっていた。

 あの様な紛い物が
如何に知恵を搾ろうとも
紛い物は紛い物である。

 鮨は術である。
回転寿司は単にお客が多く来店するに
一喜一憂する商人である。

 商人も立派な職業であるが
技術屋ではない。

 その辺りをはっきりと区別しなければ為らない。

 食するお客に
その辺りの分別が無いから
作り手が
右往左往し
最近話題の
偽造メニューなる
愚かな振る舞いが
日常茶飯事となるのであろう。

 但し、
作り手に
確かな術を
持ち得ない輩の
多いことも
露見したが。

 顧みれば
歯科も全く同じである。

 誰でも自称名医の様在り。
歯科医とは
医療人であり
職人である。

 本来であれば
寡黙なる自分仕事に
徹する類いの人種である。

 技術立国日本であったが、
この国から
もしかしたら
本当の技術が
消え去るかもしれぬを案じる。

 技術を育てるは
誰であろう
他ならぬ国民であるのだが。