夜中に息苦しくなって
目が覚めた。
身体が縦にも横にも
動かない。
意識は未だはっきりとしていないが、
もしや脳疾患ではと
心の中で動揺したる私である。
日中、私の患者さんを
脳外科の病棟迄
見舞いに訪れ、
痛々しい頭の傷口を
見せられた記憶が
鮮明に頭の中を
駆け巡った。
その時である。
私の顎を
大きな毛むくじゃらの手が
叩き込んできた。
我にかえって
首を起こし観れば
本来であれば
ベッドの下で
眠っている筈の
マリリンが
大きな身体を私の身体に刷り寄せて
横たわり
舌を出して眠っていた。
どうりで寝返りもうてない筈である。
毛布をマリリンに掛けて
私は居間のソファーで
寝る羽目となった。