私の若い時分を振り返り観れば
他人に自慢出来る様な
模範的青年では決して無かった。
周りの人間との
協調性にも欠けた
一匹狼で
好き勝手に
生きてきた見本の様な私である。
偶々、歯科と出会い
その仕事柄
自分自身の芸と向き合うだけで
成り立つのが
幸いしたが
此れが他の仕事に就いていたならばと
我ながらゾッとする。
一人息子に対して
人並みに
秘かに心を痛める私であるが
此の倅、
確実に私の遺伝子を引き継いでいる。
私の歩んできた様な
生き方だけはさせたくないと
倅可愛さで
アレコレ気を回すが
倅の方は
私の心配などどこ吹く風である。
私は倅が
私の跡を継がなくても良いと
思っている。
一度しかない人生である。
倅が越後の大地に生きていくなかで
なんぞ自分の血に合った何かを
必ず見付けるだろうと
じっと待つばかりである。