医科の領域の最先端の文献において、
【幹細胞】や【繊維芽細胞】と言う語句を頻繁に目にします。
コレら細胞は、歯科の領域に於いては
さほど珍しい語句ではありません。
【幹細胞】は歯の内部の【歯髄】が、その宝庫ですし、
【繊維芽細胞】は、古くから私らは、
この細胞と上手く付き合うことが、
治療成功の鍵で在ったからです。
コレを聞くと多くの患者さんは、
へぇ!と、
驚くかもしれません。
人の身体は機械仕掛けではないのです。
テクノロジーの進歩は人類に多くの恩恵をもたらせています。
しかしながら、
未だ科学では解明仕切れない未開の分野の方が多いのが現実です。
私の専門分野である【歯科保存学】は、
この未知分野への入り口の最前線と言って良いでしょう。
開業医が患者さんの臨床だけ行うようになれば、
私は終わりだと思っています。
学会参加も、
半分は気晴らし、観光がてらという事実も、
この業界に入って判りました。
学会は、発表の場であると私は思っています。
私の年齢は、
歯科という仕事の最後の仕上げに入っています。
時計を観ると、
6日の午前1時を少し回った処です。
院長室の机の上の、
読まねばならぬ文献の山は一向に減りません。
ドアの脇で、
マリリンは既に眠気に負けた様子。
患者さんの診察の際、手術の最中、
私の神経は極度に高ぶっています。
無論、患者さんが、其れに気づくことはありません。
それがベテランの仕事だと思っています。
治療を行うに際しては、
【原理、原則】があります。
その吸収に怠ってはプロの謗りを受けねばなりません。
また、私のように大学に籍を置く人間は、
教育と研究にも業績を求められます。
ホンに、キツい仕事です。
このプレッシャーとの戦いは、
独りで。
以前、家人から罵倒された記憶が頭を過りました。
【誰それから、よくあんな窮屈な人間と過ごせるわねと私はよく言われるのよ】
私は、歯と一体となるを決意しています。
凡人の感性、価値観は判りません。
が、
仕事に真摯に向き合うならば、
ある種、窮屈な人間へと変化する事実を、
私は身をもって経験しました。
時間がきたから仕事場へ。
で、
時間がきたから帰宅する。
帰って観るテレビは、
バラエティーとクイズのみ。
興味の大半が、
フェイスブックとインスタの【いいね】の数値の上げ下げのみ。
コレが普遍的な日本人であるならば、
私は日本人を辞めようと思います。
息子の学費さへ確保したら、
マリリンと共に受け入れてくれる国を探して、
歯科で困って居られる方々へ、
この余生を役にたてたいと、
秘かに探しています。
この国は、違う方向へと道を逸れて、
もう軌道修正できない程に、
昔とは変わってしまった気がします。