50を過ぎても尚、徹夜


医科の領域の最先端の文献において、

【幹細胞】や【繊維芽細胞】と言う語句を頻繁に目にします。

コレら細胞は、歯科の領域に於いては

さほど珍しい語句ではありません。

【幹細胞】は歯の内部の【歯髄】が、その宝庫ですし、

【繊維芽細胞】は、古くから私らは、

この細胞と上手く付き合うことが、

治療成功の鍵で在ったからです。

コレを聞くと多くの患者さんは、

へぇ!と、

驚くかもしれません。

人の身体は機械仕掛けではないのです。

テクノロジーの進歩は人類に多くの恩恵をもたらせています。

しかしながら、

未だ科学では解明仕切れない未開の分野の方が多いのが現実です。

私の専門分野である【歯科保存学】は、

この未知分野への入り口の最前線と言って良いでしょう。

開業医が患者さんの臨床だけ行うようになれば、

私は終わりだと思っています。

学会参加も、

半分は気晴らし、観光がてらという事実も、

この業界に入って判りました。

学会は、発表の場であると私は思っています。

私の年齢は、

歯科という仕事の最後の仕上げに入っています。

時計を観ると、

6日の午前1時を少し回った処です。

院長室の机の上の、

読まねばならぬ文献の山は一向に減りません。

ドアの脇で、

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マリリンは既に眠気に負けた様子。

患者さんの診察の際、手術の最中、

私の神経は極度に高ぶっています。

無論、患者さんが、其れに気づくことはありません。

それがベテランの仕事だと思っています。

治療を行うに際しては、

【原理、原則】があります。

その吸収に怠ってはプロの謗りを受けねばなりません。

また、私のように大学に籍を置く人間は、

教育と研究にも業績を求められます。

ホンに、キツい仕事です。

このプレッシャーとの戦いは、

独りで。

以前、家人から罵倒された記憶が頭を過りました。

【誰それから、よくあんな窮屈な人間と過ごせるわねと私はよく言われるのよ】

私は、歯と一体となるを決意しています。

凡人の感性、価値観は判りません。

が、

仕事に真摯に向き合うならば、

ある種、窮屈な人間へと変化する事実を、

私は身をもって経験しました。

時間がきたから仕事場へ。

で、

時間がきたから帰宅する。

帰って観るテレビは、

バラエティーとクイズのみ。

興味の大半が、

フェイスブックとインスタの【いいね】の数値の上げ下げのみ。

コレが普遍的な日本人であるならば、

私は日本人を辞めようと思います。

息子の学費さへ確保したら、

マリリンと共に受け入れてくれる国を探して、

歯科で困って居られる方々へ、

この余生を役にたてたいと、

秘かに探しています。

この国は、違う方向へと道を逸れて、

もう軌道修正できない程に、

昔とは変わってしまった気がします。