明日には


潮目の穏やかな瀬戸に面した讃岐高松に暮らす私は、休日などには犬を連れて波止場へと向かい、
防波堤からの島影などを長い間、眺めるのが好きです。

月に一度かならず訪れる新潟も、やはり海に面した港街ですが、
この地に於いては、海辺を求める心持ちよりも尚、
街の中心を貫くように流れる信濃川の川岸へと脚が自然と向いてしまうのです。

川は海とは違って、寄せて返すことがありません。
全てを流していく気配を感じざるを得ないのが川であり
河口近くの萬代橋のたもと辺りの堤よりの川面は、
およそ川と云うにはほど遠い程のゆっくりとした流れであり、
またかように流れを感じさせない流れである事が一層、冷酷さを打ち消してくれて
そこに私が惹かれるのかもしれません。

今日の手術が終わったら、ゆっくりと新潟目指して車を走らせます。

今夜は彦根にて。

明日の夕刻までには、新潟の空気が私を包んでくれるでしょう。

車道のまわりの広大な田園は既に米の収穫を終らせて、一面茶色の穂なき藁で包まれていることでしょう。

大きな海に日が沈む頃、私は橋の欄干にもたれて弥彦の山を仰いでいます。