曇り・空


母を・引き取ってから、

人が・老いてゆく・様・を、

肌身で・感じています。

今では・穏やかな老婆・とも言えましょう。

しかし、

命が・線香花火のように・消えてゆく・最後の時間を

鮮明に・観ているのは・辛いこと・でも・あります。

このような数ヶ月と云う・短い期間では・ありますが、

確実に、

私の歯科治療に関する・手当ては、

大きな・影響を・受けました。

私の歯科医師としての・最初の一歩は、

歯科保存学から・スタートしたのですが、

更に、

拍車が・掛かった・様に・思えます。

昨日、

84歳の女性患者さんに・総義歯をお造りしました。

私の創る・総義歯。

これは・母校の大学で、

私と関わる後進たちは、

よくご承知されて・います。

太陽の塔・のような・総義歯。

歯槽骨の吸収を生じることなく、

長きにわたって・食べる・を・楽しんで欲しい!

そんな・私の願いが・形・を創って・いるんです。

また、

昨日の最後の・患者さん。

私と・同年代の・女性。

上顎に・全てインプラントにて対応する

大型の・修復物を・お造りさせて・いただきました。

素材、設計、製法、

その後の・半世紀を・見据えて、

筋肉、骨格の老化と萎縮に・添い遂げる様に、

舌の運動機能の低下による、

摂食・嚥下という・自然の営みの・妨げに・ならない様に。

さまざまな・私の想いを・封じ込めて、

お創り・させて・いただきました。

昨日の・夕刻に初診で・お越しになった19歳の大学1年生の男の子。

上の前歯の・すきっ歯部分を・ダイレクトボンディング修復にて。

それが彼の・リクエストでした。

しかし、

この4年ほどで、

彼の前歯・周囲の歯肉の形状は・大きく変化すると、

瞬時!に・感じとったとき、

上手な先生を・紹介してあげるから、

歯の歯列矯正に・行きなせぃ!

それが、

学問としての・王道だからね・と、

修復治療は・お断り・させて頂いたのです。

成長期の後期の・不正咬合に対する歯列矯正治療は、

大きな・治療的価値が・あります。

確かに・歯列矯正治療は・高額ですが、

上手な歯科医師の・手に委ねるならば、

支払った価格・以上のベネフィットを・得るでしょう。

上の前歯の・正中離開歯に対する・ダイレクト・ボンディング修復は、

適応症の選択に・特別に注意しなければ・なりません。

その様な・配慮・が、診えない年齢では・ありませんよ・私は。

窓から・空一面・雲一色。

でも、

私の眼は、

見えるもの・に加えて、

視えるものと、

診えてしまうものが、

重なって、

脳裏に・伝わる様に・なりました。