歯科医師としての【名誉】は、
決して、
大学教授で在ることや、
著名人の主治医で・在る事では・ありませんでした。
友遠方より来たる。
では・ありませんが、
この瀬戸内に面した・四国の田舎町の・
小さな歯科診療所まで、
日本の各地から、
わざわざ・お越しくださる【縁】を・得ることが、
歯科医師としての・最高の栄誉だと・感じてなりません。
それも、
このご時世にです。
なんと・私は幸せな・歯医者だと・
つくづくと・感じるのです。
私は・名医では・ありません。
だから、
毎日の治療が・私を大きく圧するのです。
私は・歯には神さまが・宿ると・信じています。
だから、
敬う気持ちで、
歯の声を・聞き逃すことの無いようにと。
そのような35年を・過ごしてきました。
私は商家の生まれです。
家業を継がずに、
歯科医師の道を・自らの意思で選びました。
そのような私を親族たちは・馬鹿な奴だと・笑いました。
何故・家を継がない?
貧乏に・なりたいのか?と、
人の口の中を触ることを、
汚いと・思わないのか?
どうせ・なるなら・医師の方が、社会的地位が高いのに・馬鹿か・お前は?
そのような環境で、
私の歯科大生・生活はスタートしました。
私は・幼い頃から、
神さまや・仏さまを・信じていました。
小さな庵の御坊が、
経を唱えたあと・の瞬間に・振り返り、
坊っ・歯医者になれっ!
その言葉を【縁】に、
歯学部の受験に・シフトチェンジしたのです。
私の飲んで育った水とは・全く違う世界です。
不安で・なりませんでした。
そんな時に、
墓地の一隅に・まとめられた無縁墓地の墓標群。
盆になって・地上に帰って来ても、
誰も・接待してくれる人は・居ません。
当時の私の心境は、
この無縁墓の仏さまと・重ね合わせる事ができました。
少年から青春期へ移行する多感な・この時代に、
私は・良い歯医者になるための努力は惜しまないから、
どうか歯医者に・ならせて欲しいと、
無縁墓に・願をかけたのです。
その無縁墓の仏さまと共に、
私の歯科生活が・推移しています。
見えない力によって、
私は歯科の仕事に従事できて・いるのです。
昨日は・炎天下でした。
車を走らせて、
先祖の墓掃除を終えたあと、
遠方ですが、
私は無縁墓の前に・立っていました。
経を唱へ、
香をたき、
ソレが18歳の歳からの、
盆の恒例行事と・なりました。
盆は、私にとって、
正月より・大切な・人生の節目です。
私の歯科医学は、
このようにしながら、
育んで・きたものです。
学問は・進歩し続けます。
ソレに・遅れをとるほど、
私は怠け者では・ありません。
しかし、
進歩が正しいとは言えない・倫理なき基準値を持つ時代と・なりました以上、
私は・自分の物指し創りに、
勤しむように・なりました。
その結果、
症例を前にした瞬時、
手先が、
勝手に・動くように・なりました。
歯科医学って・本当に・不思議なモノです。
その不思議に・取り憑かれた私は、
幸せなのか・阿呆なのか、
そんなこと・どうでも良く・なったのです。
今日も、
患者さんの手当てに・私の生命を注ぎたいと。