月別アーカイブ: 2018年7月

笑って下さい

不安感や哀しい気持ちで、

押し潰されそうになった時、

眠ることしか術を知らなかった時がありました。

でも、

眠りは、

必ず眼が覚めるもの。

酒を煽って、

酔いに任せて眠ってみても、

眠りは、

必ず眼が覚めるもの。

そんな長い期間を過ごした後に、

眼が覚めた際に、

ある時、

ふと、

気づいたのです。

悩んでも無駄だと。

哀しんでも、

それは未来永劫には続かないのだと。

ただし、

有頂天になるような至上の幸福に満たされた時間も、

そう長くは続かない。

ソレからは、

ズッと前を向いて歩くようになりました。

10年は先の自分の姿を

より良いモノとして、

イメージを膨らませて、

グイグイと、

前へ進むようになりました。

すると、

人と人との関わり合いの

大切さが、

肌で感じるようになりました。

私の診療所へお越しの患者さん。

私の母校の付属病院へお越しの患者さん。

そして、

母校の上司、同僚、後進たち、

そして、

青春期を母校で学ぶ学生諸君。

ちっぽけな歯科医でしかない私ですから、

私の関わり合いのある世界も、

このように、

ちっちゃな世界でしかありません。

正直、

これで良かったのだと、

胸を撫で下ろしています。

これ以上の大勢の人たちと

関わるキャパシティは、

私にはありません。

私は決して名医ではありません。

でも、

歯との【え・に・し】を

大切に大切に、

雛のかえる直前の卵を

掌の中で包みこむように、

歯科医学を、

私の身体の中で温めて、

大切に触れてきたことだけは、

私の家族、別れた家族ともに

否定されることはないと確信しています。

私は人として生きる。

私は歯科医師として生きる。

関わり合いをもつ方々の幸せを願い、

祈りを捧げながら、

前へ進む。

55歳になって、

ヤット重い腰をあげることにしたのです。

今まで浪費した無駄なエネルギー、

今までの経験から蓄えたエネルギー、

これから思案することで生まれるエネルギー、

それを糧として、

歯の番人としてだけ、

進んで行く姿を

笑って下さい。

 

かかりつけ歯科医

もう10年は、

優に越えた頃だったでしょうか。

【かかりつけ歯科医制度】なるものが、

健康保険の治療費用として点数評価された事がありました。

が、

いつの間にか、

ウヤムヤとなり、

点数と共に、

その制度そのものも

消えてなくなりました。

かかりつけ歯科医という関係ですが、

コレは、

国の制度で縛られる類いのモノではないと考えています。

歯科医という個人の人間、

患者さんという個人の人間、

人と人との関わり合いを、

制度で評価し、

ソレを点数表示することに、

私は大いなる違和感を感じていました。

私は長い間、

開業歯科医を生業として過ごしてきました。

20年を越える関わり合いの患者さんも多いのですが、

途中、

来院を中断された方も少なからず居られます。

私はハッキリとモノ言う質です。

私の一言が、

その方のシャクに触った事もあったかと思います。

また、

治療を巡る方針の相違から、

私の診療所を去った方も居られます。

ただ、

興味深いことは、

10年も経てば、

そのような方の大勢が、

私の診療所へと帰って来られるのです。

悲しいのは、

悲惨な状況に至っている共通項が診てとれますこと。

40代の頃は、

正直申し上げて、

だから言わんこっちゃない。

こんなになってから、

どう治せと言うんだよ。

腹立たしい気持ちを抑えて、抑えて、

歯科医という仕事の矛盾だらけを

歯の芸に打ち込むことで

まぎらわせていたのが事実です。

しかし、

ある時に、

ふと、

自分の考え違いに気づいたのです。

最後は、

私を思い出して下さったのだと。

崩壊した口腔は、

昔の私が予想した過程を辿っていました。

私の診断は正しかったのだと。

歯科医の診断は、

将棋や囲碁を指すような類いの処が多数を占めます。

先に先を読んだ者が勝利の栄冠を勝ち取ります。

歯科医は、

それに加えて、

手先の器用さも勝ち負けに影響します。

ですから、

私は患者さんとの会話や治療の手当てを

より丁寧に丁寧にと綴ることに

力を注ぐようになりました。

患者さんの側は素人でらっしゃるから、

私の本意は知りません。

ソレで良いのだと思っています。

患者さんとの何気ない会話から、

医師からの服用中の薬の影響で、

逆の効果が起きていることにきづき、

処方を変えて頂く機会が多々在りますし、

長い間の関わり合いから、

全身疾患を疑い、

他科に検査を依頼し、

大事から免れられ、

患者さんと共に喜びを分かち合った機会も多いのです。

現在の私は、

診療に関して、

物事を難しく考えないようにしています。

目の前の患者さんが、

ズッとお元気で、

美味しく何でも召し上がって頂けるように。

 

変わった空気

やっぱり、

患者さんたちは

気づいていたのです。

ホールの登り階段の手摺から

備え付けの台、

診療椅子の隅々まで

ピカピカ✨に光っているほどに。

お掃除のオバチャンのお陰です。

オバチャンと云っても、

まだ72歳の活き活きしたお綺麗な方です。

私が若い時分からの患者さんでした。

御商売をお閉めになり、

6歳年長の御亭主と、

お子さんに恵まれなかったので、

お二人で仲睦まじく過ごされていたのです。

が、

数年前、

オバチャンを病魔が襲いました。

何度か手術を受け、

スッカリ、

オバチャンは意気消沈したのです。

メンテナンスの期間を短くして、

口腔のクリーニングはそこそこに、

オバチャンの不安な気持ちを聴く、

オバチャンの体調を聴く、

オバチャンの食事の内容を聴く。

それに徹したのです。

2年ほどは、

同じような状況だったと思います。

で、

コレでは、

オバチャンは鬱になると判断した私は、

オバチャンに診療所のお掃除人を依頼したのです。

オバチャンは私の患者さんですから、

私の診療所の方針は既に20年も経験済みの玄人です。

全てが患者さんのために。

明るくなられましたよ。

人は誰かのためにお役にたつ事を自覚すれば強くなる。

そんな言葉を思い出しました。

最近、お越しになられた患者さんとの会話には、

横耳はさんだ私は吹き出しそうになります。

先生は忙しいんですよ。

いつも診療の合間で誰それからお電話でね。

難しい治療の方ばかりの合間ですからね。

ご飯も召し上がれないんですよ。

年とられて丸くなられたんですよ。

いえいえ、

私なんか今でも先生のことは

恐いですもの。

昔なんか、ソレはソレは。

でも、

患者さんが多いんです。

ハッキリモノを仰いますけど、

困った患者さんには、

ソレはソレは親身に手当てされますから。

アレは恐いんではないんですよ。

ヤッパリ仕事の内容なんでしょうか?

緊張してピリピリされてるんです。

廊下の陰で、

オバチャンの話しを聞くに、

あぁ、女性の口ってのは、

でも、

私は女性の歯の治療がほとんどなんですね。

スタッフも代わり、

随分と雰囲気も変わりました。

しかし、

私はピリピリしてるんでしょうか。

心外だなぁ。

自分では随分と無理して丸く演じてるんです。

歯の声

何だかお判りになりますか?

石膏で彫刻した、

人の上顎第1大臼歯の模型です。

ナンだ?

そうナンだって処でしょうね!

でもね、

この第1大臼歯と

お隣の第2大臼歯とでは、

微妙に形が違うのですよ。

歯それぞれに

形態的な特徴と違いが在るんです。

そして、

ソレが、

その歯の独自の自己主張なんです。

私が治療に際して、

【歯の声】を聞き漏らさないようによ、

心を清んだ状態にするのは、

そういうことナンです。

歯のナンと!美しい形を具備していることか。

無計画・未熟なインプラント治療の結末を

初診からの治療行程を

治療のステップ・ステップ毎に

ブログにてご紹介させて頂きました

あの御婦人の治療も、

ヤット、

終末が見えてきたようです。

アリャ~!

ヤッてくれました!

って云うインプラント修復でした。

観た眼にも痛々しいですが、

粘膜部分にインプラントの開放部分が在るので、

唇を動かす度に、

痛いんですよ。

もちろん、

インプラントは撤去します。

骨も粘膜部分もボロボロ状態。

ここから、

粘膜部分の整形手術や骨の増大手術を。

本当にお気の毒でした。

で、ナンとか此処までに。

もう少し、

クラウン・ブリッジの歯茎部分の形態を

手直しすれば、

ナンとかなるでしょう!

具体的には、

歯の無い部分の似せの歯の歯頸部分を

チョコッと、

短く、

ゆったりカーブに修正して、

もう少し奥への膨らみを持たせる。

こういう処を、

アップした写真で再チェックします!

最後の頑張りですね。

でも、

自然な表情をされた際には、

ねっ!

艶っぽいでしょ?