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高松インプラントセンター その7

 1996年に設立された私の
高松インプラントセンターは
四国一の実績と経験、
そして設備を備えていると
自負している。

 異論の在る歯科医が居れば
私は何時でも
受けて立つ準備をもっている。

 昨日、インプラント治療を希望する
患者さんが来院された。
他の医院でインプラント治療を
勧められての来院であった。

 興味深い事に
私の下した診断と
全く異なった診断を
受けていた。

 抜歯が必要な或る歯の部分に
インプラントを埋め込む事には
異論は無いが、
この歯には炎症が著しく
周囲の骨の吸収は著明であった。

 此の状態では
インプラントを埋め込む事は出来ない。
骨の幅が足らない事は
CTを撮影するまでもなく
明らかであった。
骨造成の必須の症例である。

 又、もう一ヶ所は
既に歯が抜いてあったが
此処も、
明らかに骨の幅が足らない。
おまけに其の前の歯には
根の先に大きな膿の塊がある。

 此の様な場合には
すぐ隣にインプラントを埋め込むと
横に在る膿の塊から
早晩、細菌感染を生じる
可能性を孕んでいる。

 前医は私の大学の卒業生であった。
思わず舌打ちをした私である。

 何時から
こんな診断と治療計画が
罷り通る様になったのかと
頭を抱えてしまった。

 インプラント治療と云うのは
謂わば、一種の移植治療である。

 其の辺りを
肝に命じて
症例と向かい合わねばならぬ。

愚息の修学旅行

 新潟明訓高校に通う愚息は
宮城で先の震災に被災し、
1年遅れての
高校生活である。

 四国で育った愚息は
言葉も、感性も、生活風習も、
此の越後の国の人とは異なり、
なかなか
皆の輪の中に入れては貰えず、
独り突っ張って、
半ば焼けばちになった
時期もあった。

 越後の人は温かい。
但し、
最初は警戒心から
本音を見せてはくれないが、
一旦、仲間と認知されれば
ホンによーく面倒みてくれる
熱情の人である。

 愚息も何時か
世間に出ねばならない。

 生きた人間程
厄介なものはない。

 其の予行練習だと思い
父たる私は
見守ってきた。

 今日から
明訓高校は三泊の予定で
修学旅行へと。

 愚息には気の毒ではあるが、
広島から讃岐を経て関西へと
出向く様である。

 当地の修学旅行であれば、
此のコースは
小学校の生徒向けのものである。

 其れほど迄に
越後の国から
遠く離れた地に
此の地が在ると云う事である。

 越後の人に
西国の人の空気に触れて貰いたい。
 越後の人に
西国の街の気配を感じて貰いたい。

 確かに、愚息は
此の地の水を飲んで育ったのだから。

 京に登れば
金閣、清水も善いが、
祗園までぶらりと
足をのばして
だらりの帯の舞妓の薫りに
足を留めるのも良かろう。

 呉々も事故の無いように
気を付けて、
西国を満喫して頂きたい。

虫歯は早期発見,早期治療は当たり前!

 歯の硬組織が侵襲される状態を
専門用語で
歯牙硬組織疾患と云う。

 虫歯は其の代表例である。
が、それだけじゃない。

 噛み合わせ異常からくる
ひび割れ、此れをクラックと云う。
他には、磨耗、咬耗も
噛み合わせから生じる
れっきとした歯牙硬組織疾患である。

 その他、逆流性食道炎、胃酸過多、過食症に多い
酸侵症。

 等々、様々な疾患がある。

 此処で注意しなければ成らない点は
疾患の進行のスピードである。

 神様は尊いお方である。
キチンと人の身体に
防護機能を設けて下さった。

 小さな小さな歯ではあるが、
此の人の身体の一部にも
キチンと防護機能が
備わっている。

 病気の原因が
慢性的にジワジワと
迫ってくるには
歯と云えども抵抗を示す。

 二次象牙質と云う
本来の構造にはない
新たな組織の誕生で
細菌の侵入を
防いでくれる。

 噛み合わせ圧異常で
歯のエナメル質に
ひび割れが生じ、
様々な悪事の原因となる事を
ドクター.マッコイが
デンタル.コンプレッション.シンドロームと呼び、
私の記憶が正しければ、
1983年頃、発表された。

 私は1990年代の前半に
マッコイ医師から
直接、話を伺った事がある。

 楔の様に
歯の生え際が
磨り減ってしまう状態を
くさび状欠損と云うが、
此れも
デンタル.コンプレッション.シンドロームの
為せる業である。
 呉々も、
歯磨き粉の中の磨耗剤のせいではない。
硬い歯ブラシでの擦りすぎではない。

 まぁ、学問としては興味深いが、
治療となれば別である。

 二次象牙質が出来ていない状態で
象牙質が露出してしまえば
アウトである。

 クラックは急性侵襲であるから
早く、手当てをせねばならない。

 虫歯と云うのは
既に細菌の感染を伴っている。
歯には
積極的な大きな
自己修復能力はない。

 予防の段階での
ミクロの再生能力は
フッ素の力で善かろうが、
虫歯の早期発見、早期治療は
当たり前以前の話である。

夏の終わり

 私の朝は早い。
午前3時には起床する。
何時まで経っても眠かった
若い時分が懐かしい。

 ゴールデンリトリバーのマリリンも
体内時計に確りと、
私の生活リズムが刻まれた様である。

 今では、ベッド脇で寝ている
決して小さいとは言えない此の仔犬は、
起床時刻に、身を乗り出して
私の顔を舐め舐め、
飯を喰わせろ
散歩に連れて行けと
喧しい。

 仏壇の花の水を変へ、
水とお茶を供える間、
此の犬は
金魚の糞の如く
右から左へと
私の足元から離れない。

 ー 阿呆の倅より何とお前は賢いことか! ー

毎朝、新潟の愚息の顔を思い出しては
犬に感心しきりの私である。

 リードに繋いで外へ出た。
何気に外気が肌寒い。
思わずマリリンと伴に
駆け出した。

 私にとって朝の3時間は
大変、貴重な時である。
歯科医にとって、
大人の男として
身に付けなければならない
知識と教養の吸収の為の
手当ての時間である。

 テーブル下で転た寝の
マリリンを今度は私が起こし
診療所へと向かうために
外へ出た。

 通勤で通りを行き交う人で
喧騒の最中の市街地である。

 透き通った青い空であった。
が、鼻腔に充満してくる大気に
夏が確実に終った事を感じた。

なかなか予約が採れないと云われる理由

 巷では、私の診療所は予約が採れないと
云われているのを私は、充分に理解している。

 総入れ歯の患者さんは5人迄。
一人が完成したら、
お待ちの次の患者さんに
連絡をいれる。
総入れ歯は、
歯科医の能力の全てが問われる。
私には、多くを拝見する自信がない。

 歯の神経を採る治療は
1日に一人のみである。
手先に全神経をと
研ぎ澄ますので、
クタクタになる。

 噛み合わせの治療には
半日位の長時間を要する。

 インプラントの手術も然りである。

 私には流れ作業は
到底出来ないのである。

 器具の滅菌についても
私自身が納得するまでに
至ったレベルでは、
到底1日に多くの患者さんは
拝見出来ないのである。

 又、1日の中で
私の患者さんの為の
救急処置が出来る様に
時間を空けている。

 一月に一週程は
大学での仕事がある。

 かような訳で、
新しい患者さんには
御迷惑をかけている。

 何卒、御理解頂きたい。

日本歯科大学 新潟生命歯学部 保存学第2講座の同門会が

 今年の11月に、日本歯科大学新潟生命歯学部の
保存学第2講座の同門会が、新潟グランドホテルにて
開催される。

 同門会に参加するのは
久方振りである。

 講座の主任教授が新海先生に代わられてから
初めて開催される同門会である。

 グランドホテルは、私の新潟での
自宅のはす向かいである。

 時間ギリギリになってから
出掛けるつもりである。

 此の歳になっても
当時、苦手であった先輩に
出会すのは、多少、気が重い。

 恐らく、皆、随分と歳をとった事だろう。
当時は、歯科全盛の時代であった。
随分と多く医局員が教室に在籍し、
無給の人間も随分と居た。

 今では想像も出来ない活気があった。

 当時を懐かしみながら
11月は雪は未だ無いだろうから
車でマリリンを連れて行こうと
今から楽しみな私である。

昼食に出された幕の内弁当でも

 四国中央市に在る
仙龍寺のお嬢から、

 ー 先生、スラスラ文章が書けて良いな~ ー

と、羨ましがられたが。

 別段、私は物書きではないので
気張らなくても良いから
スラスラ書けるのである。

 此れが本職の歯科ともなれば
かような訳には往かぬ。
悩んで、悩んで、悩みぬいて
毎日、患者さんに向かい合っている。

 文章の素人であればこそのである。
此の間の会合で
出された仕出しの幕の内弁当でも
原稿用紙に10枚位は
軽く書ける素人の戯れ事である。

高松インプラントセンター その6

 1996年に設立されました私のインプラントセンターは、
当時は私がノーベルファアマ社(現在のノーベルバイオケア社)の
ブローネマルクシステムインプラントのコース.インストラクターとして
講習会を開催していた事をきっかけとしたものでした。

 当時は、インプラントの講習会は
ベーシックコースは、
東京歯科大学と日本歯科大学の二校と、
小宮山弥太郎博士が担当しており、
実際の患者さんによる臨床コースを
赤坂の寺西先生、
当時は神戸元町で開業されていた
伊藤雄策先生が始められ、
其のご縁で私も
ブローネマルクシステムの講演活動に
入った訳です。

 其の後、SJCDのメンバーである事が理由ではありませんが、
寺西先生、伊藤先生と伴に私も
臨床も講演活動もアストラ重点を移す様になりました。

 私は歯周補綴の洗礼を受けた歯科医です。
此れはレイモンドキム先生の弟子である事の証しですが、
此の事が、私共のインプラント治療の根幹となっている事は
事実であります。

 今は、アストラ、ストローマンのインプラントを
中心に臨床応用しています。

 但し、インプラント治療に於いて
最も大切なのは、
診断と治療計画だと思っています。

 3D画像に頼った診断は
大変危険な愚かな行為だと
私は断言します。

 今、私のインプラントセンターでは
インプラントと骨の結合に関して、
力応力を配慮した研究に取り組んでいます。

叩き上げの独り言

 若い歯科医の先生であるから
致し方ないのかもしれないが。

 よくホームページにて
【〇〇先生の講習会を受講しました】
等の能書きを目にする。

 講習会で他人の話を聴いたのと
自分が出来るとは大違いである事に
早く気が付かねばならない。

 【〇〇としたインプラント治療を得意としております!】
結構な事である。
仕事は、素人の戯れ事ではない。
国家試験に合格する事と
プロの仕事と云うものは
明らかに違うものである。

 モヤシの様な歯科医が増えてしまった。

 今は歯科界の信頼を取り戻す為に、
否、
インプラント治療の信頼を回復するために
基本の基本に帰った
インプラント治療を行わねばならぬ。

うどん県 それだけじゃない香川県

 私は高松で
産まれ、育った訳ではない。

 が、縁が在って
此の地に診療所を設けた。

 歯科の仕事に夢中であった。
休日には県外へと出掛けるか、
家で疲れを癒すので
精一杯で、
此の地を
彼是、探索する暇など無かった。

 昨日、用在って
空港迄、出向いて行った。

 到着ロビーの
観光客向けのコーナーに
処狭しと置いてある
パンフレットが目に入った。

 家に持ち帰り
足下でじゃれている
マリリンの相手も他所に
【うどん県 それだけじゃない香川県】
と、書かれたパンフレットに

 ー 上手い事 云うものだー

と、感心しながら
つい頁を捲っていた。

 来年は、
四国霊場開創1200年の
記念の年である様だ。
即ち、四国八十八ヵ所霊場が
弘法大師空海42歳の時に
開創されて1200年と云う訳である。

 来年は、
ゆっくり身体休めも兼ねて
お遍路にでも
マリリンを伴って
出掛けてみるとしよう。