インプラントを埋め込んだその日のうちに噛める様にする治療を【即日加重インプラント治療】と言います。
基本的に私は、この方法に否定的な立場を採っています。
骨結合インプラントの産みの親であるブローネマルク博士とアレブレクソン博士の基礎的な研究は半世紀以上前のものですが、
未だに博士らの研究結果である上顎で半年間、下顎では3ヶ月の安静期間が必要であるという報告が、現在でもゴールデン.スタンダードと
なっています。
確かに症例を選べば、下顎の前方部分は骨が硬いために、この部分4ないし5本のインプラントを埋め込んで
その日に加重を加える事が可能な場合もあります。
しかしながらインプラント治療と云うのは、単に手術だけの治療ではありません。
噛み合わせ、すなわち下顎が正しい位置で治療が行われているのかが、とても重要になります。
最近話題の顎関節症の原因の多くが噛み合わせにある事は広く知られているとおりです。
治療行為には様々な誤差が生じます。
長時間の施術で口を開けた状態が長く続き、しかも麻酔で粘膜、周囲組織も腫れた患者さんは
日常の正常な噛み合わせは出来ません。
その様な状態にある患者さんに対して、噛み合わせ治療を行う事は私にはできません。
最新の治療のトピックスとしての目新しい治療方法の紹介としては、即日加重インプラントは興味深いものです。
しかしながら、毎日インプラント治療を行っている生活を長年過ごしてきた私としては、
私の診療所にお越しになられます患者さんに対して、確実に成功しなければなりませんから、
日にちはかかっても確実な手法を選択します。
治療において最も大切な事は、確実性だと私は思っています。