インプラント治療を受けるにあたって その11.


私のインプラント治療歴は今年で26年になります。

全ての症例が100%成功した訳ではありません。

インプラントと骨は確りとくっついているのだけれども、人工歯とインプラントを接合するネジが破損する機会も少しですが経験しました。

随分と時間が経過すると、患者さんの側でも、あれほどまでに頑張って治療したインプラントだから定期的な検査を受けとかなければ!と云う意識も薄まったり、
インプラントをした事さえも忘れてしまう機会もありました。

その様な患者さんにおいては、なにか普段と違う感覚を覚えてから、つまり異変を感じてから、やっと私の診療所へとお越しになられます。

だいたいが先程お話しさせて頂いた部品のネジの緩みなのですが、これはもう一度ネジを締め直して終りで、大事にはなりません。
但し、ネジが緩んだ原因を見つけなければなりませんが、これは殆どの場合にはインプラント治療をした部位の反対側の噛み合わせが原因である事が多い様です。

例えばインプラント治療をした部位の反対側の歯に、以前には無かったグラツキが出てきた等と言った処です。

話を元に戻しますが、長い期間に渡って噛む仕事を負担してきたインプラントの各部品が定期的な検査なくして、全くノートラブルであると信じている
歯科医は先ずは居られんでしょうが、仮に居られたとしたら、その方は自動車を購入してから生涯、同じ車を、同じタイヤを履いて、エンジンオイルも交換しないで
乗っておられる稀少な方だと思います。

私はこの10年前まで位はブローネマルク.システム.インプラントを中心に使っていました。
良くできたインプラントでしたが、部品の緩みが起こる事が、このシステムの利点であり欠点でもありました。

今、私の臨床の中心になっているアストラテック.インプラントではネジが緩む機会は稀ですが、これもこのシステムの利点であり欠点でもあります。

ブローネマルクのインプラントの部品で既に市場に出回っていないものも沢山あります。
その様な部品を交換しなければならなくなった時に、残念ながらメーカーでは対応出来ない経験もありました。

この様な場合は、ブローネマルクだけでなく、アストラでも将来は起こり得る事だと思います。

ですから、世界三大メーカーの商品だから大丈夫!と云うのは、少し愚かな考えと言えるでしょう。

では、部品が無くなった将来はどうするんだ?の問いには私は抵抗なくお答え致します。

自家製で製作すれば良いでしょう!

そもそも歯科医とは、造り出す仕事です。

私がある時からアストラテック.インプラントにスイッチしたのは至極簡単な理由です。

権威ある学会誌に掲載されている権威ある研究機関の臨床で、アストラのデーターが占めてきたからです。

一言にインプラントと言っても、システムが変われば結果は異なります。

私が自身の診療所で使う製品は、そのデーターの結果とデーターの出所が関心の中心です。

基本的にメーカーの出すデーターを私は信用しておりません。

その様な訳で、海外の文献でアストラテック.インプラントのものが圧倒的に多いのが
私がアストラを使う理由です。

但し、アストラと言えども神様の創ったものではないので、完璧とは思っておりませんから、
余計に慎重に考えて治療しなければならないのです。

私がインプラント材料に望む要点は、純チタン製品である事。機械加工精度が極めて高いこと。製品の表面の洗浄程度が高く、滅菌レベルの高いことです。
確かにその様な製品は高級ブランドの造り出すものですが、メーカーは営利を追求するものと認識して、常に製品のレベルのチェックを怠らない様に、
馬鹿げたブランド信仰を棄てるべきが専門職たる医師の採るべき姿勢だと思います。