綺麗なひとへ


昨夜、

診療所の後かたづけを終えたら、

もう午後の7時半をとうに回っていました。

帰宅路の途中に在る

桜町カトリック教会の松浦司祭さまからの、

聖書の解釈の個人教授が8時からであったので、

急いで診療所を後にしました。

聖堂のステンドガラス窓から灯りがもれていました。

8時まで10分ほどありましたので、

聖堂の木戸から中へと入りました。

毎週日曜日のミサに訪れているので見馴れた光景ですが、

夜の静寂のなか、

誰一人いない聖堂の正面へと歩み寄りました。

正面には、

十字架に架けられた姿のイエスさま。

聖台に向かって右側の壁の台座にマリンさまの石像。

向かって左側には、私の名前の由来である聖父ヨゼフさまの石像。

人っ子一人いない聖堂で、

私は目の前の聖家族の御像を眺めるのが好きです。

そして、

聖母マリアさまのお顔だちの美しさに

心が安まるのです。

ついさっきまで、

緊張感に包まれた治療を行っていました。

患者さんが私に託して下さる気持ちに責任と感謝を感じて

毎日を過ごしています。

そのような暮らしを経て、

祈ることが大切な務めであることに気づきました。

ですから、

夜、

たびたび教会を独りで訪れます。

それと共に、

患者さんの診察の度ごとに、

聖母マリアさまに祈りを

心内で捧げ、

手先を患者さんに触れるようになりました。

健康でありますように。

そして、

マリンさまのようなお美しいお顔だちが

私の手当てで創れますように。

歯科医師ですから、

当たり前のことなんです。

でも、

祈らずにはいられないのです。