父娘


 仕事に於いて
強い意志でもって
急な坂道を
かけ上がってきた
自覚在る私である。

 勿論の事ながら
壁にもぶつかったし、
挫折も
当然味わった。

 が、走る速度は変えずに
ひたすら走って
今日に在る。

 過程で、
犠牲にし失ったものも多い。

 やむを得ずであった。

 来春、大学卒業を間近に控えた娘に
常識はずれな助言しか
出来ないのは
私が身をもって
常識はずれな道を
撰んできたからである。

 私は二番煎じの選択は
出来ない性分である。

 私の前に
道無き方角を
自ら撰んで
生きてきた。

 娘と云えども
大人の人間である。

 後悔の無い人生など
無き幻であろうが
其れでも
精一杯、
若者のエネルギーを
煮えたぎらせる
情熱の心は
失わないで欲しい。