歯科医学と料理道の共通の匂い


 旨いものに目がない私である。
但し、此の旨いものであるが
私は他人の評判や
グルメ本などは
当てにしない。

 通り歩きの
セレンディピィティー、
気の向くままの
偶然の産物的な
店の前の
ある空気を重要視して
ふと立ち止まり
木戸を開けて
カウンターへ
腰掛ける。

 私の直感は
まず外れる事はない。

 但し、
私は所謂グルメではない。

 素材をどの様に手間をかけての
下仕事を施したのかの
職人仕事に重きを
置いている。

 家でも
自ら米を磨いでいる。

 手当ての仕方で
炊きようも
違って来るからだ。

 手当ての仕方で
身体にも
優しい命の源となるのが
食の真髄である。

 私は越後の白い米を
こよなく愛する者である。

 コシヒカリは
白くなくて
どうしてと云う者である。

 素人の聞きかじりの
玄米食や五穀米健康法など、
阿呆のくそ食らえである。

 舌を肥やし、
五感を豊かに鍛える
至高の修行が
料理である。

 歯科医学と料理道に
相通じる共通の
特有の匂いを
感じるからこそ
私の食への拘りも
素人には判るまい。