男心


技工士長の関口君とは、

もう35年来の付き合いです。

私が大学院生の1年坊主の時に、

彼は技工学校の専門科を卒業されて、

大学の技工科へと配属されてからの・付き合いです。

ですから、

どちらも・ニューフェイス・だった訳です。

無我夢中の時代を、

一緒に過ごした、

戦友みたいな関係でしょう。

ですから、

私が大学に戻った事を、

彼は誰よりも・喜んでくれました。

今では、

私の横には常に・関口在りって・処です。

新潟で居ります際には、

寂しがり屋の私ですから、

常に、

彼の姿が・私の横に在るのです。

彼は、

雪国・新潟でも、

最も雪の多い十日町の出です。

現在では、

80を過ぎた御母堂様が、

お一人で過ごされて居られルのを、

案じているようです。

その御母堂様の心臓の手術のための入院が、

今日だった事を、

ふと・思い出した私は、

彼に電話を入れました。

おう・関ちゃん。

おっかさんは・どうだい?

ヤッパリ不安みたいです。

ソリャ・そうだよ!

おっかさんに・言っといてくれぃ。

生きる運があるから、

先生が手術するんじゃん。

80半ばのばぁちゃんの、

心臓にメス入れても・大丈夫って、

先生が・そう判断したって事は、

そういうコッチャ。

不肖・三枝は・大いに運が在りますから、

よ~く・神さまに・お願いしておきます。

まだまだ・お迎えに・来ないで・下さいってね。

先般、

彼から電話を頂いたンです。

先生、

お袋が・こう言う訳で、

大学を休みますから、

諸般の事は、

下の者に言っておりますので、

今回は申し訳ありません。

男心って・こう言うモノナンです。

だからこそ、

私の大学での仕事が・成り立つンです。