月別アーカイブ: 2019年4月

根管治療の不備と歯根破折

この頃は毎日、

初診の患者さんがお越しになります。

私のような治療椅子1台だけの超小規模な

自費治療専門の診療所では、

コレは異常事態なのです。

1日に診察できる患者さんの数は

たかがシレています。

患者さんから頼って頂けることは

誠にありがたいと思います。

が、

私は一人しかおりません。

四苦八苦しつつ、

時間のやり繰りしています。

新患の傾向として明言できますのは、

根管治療の不備による痛み、

歯根破折による痛み、

そのような歯の保存に関わる

緊急性の高い患者さんが多いことです。

で、

更に分析すれば、

歯科保存学の基本から逸脱した治療痕跡が

明確に認められます。

来院時期が既に遅く、

保存治療の限界を越えた症例もあります。

その際には、

歯槽骨と隣の歯の保存を考慮した

次なる治療を考慮した治療を行います。

歯科治療と補綴治療は切り離せませんが、

縁の下の力餅ではありませんが、

歯科保存学の則った治療の重要性を深く感じるのです。

 

歯根破折防止対策

基本的に神経を採った歯は、

クラウン修復しなければなりません。

それが基本的手技です。

その際に、

根の補強を行います。

今ではファイバー・ポストを使用する場合が多いです。

ただ、

ファイバー・ポストの手順も、

歯科保存学の原理原則に沿って行う必要性があります。

この患者さんの右上の真ん中の前歯は、

既に神経を採った治療を受けています。

基本的にセラミッククラウン修復の適応症です。

被せるために、

歯を形成します。

くれぐれも、

形成前に、

ファイバー・ポストを接着させてはなりません。

あくまでも・先行手技は形成です。

ここで初めて、

ファイバー・ポストの手順に移行します。

ファイバー・ポストは接着修復の範疇にありますから、

ラバーダム防湿は必須です。

で、

根管内の接着阻害因子は、

マイクロスコープ視野で、

完全に除去します。

次いでポスト挿入。

私は根管内のポストと歯質との接着は、

4ーMETAモノマーを好んで使用しています。

根管内の接着操作が終了して後に、

歯冠部分とポストの接着は、

BisーGMA系のモノマーを使用しています。

このような手順を支台築造操作と専門用語で言います。

支台築造の際に最も重要なのは、

この写真は、

ファイバー・ポスト挿入前の所見ですが、

形成された歯質が沢山残っています。

この残存量によって、

歯根破折の防止が随分と変わります。

ポストは、あくまでも補助でしかありません。

ただ補助と云えども、

その方法の精度によっては、

補助にもなりません。

歯科治療は精密・精確さが命です。

歯根破折を防止するため、

歯科の基礎・原点にたち返る事が肝要です。

バック・トウ・ザ・ベイシックですね!

遠隔診療

昨日の夕方、日本歯科大学新潟病院で、

歯科補綴学第1講座の水橋准教授と、

私の診療所とで遠隔診療を行いました。

藤井学部長のご厚意で実地されています。

モニター画面を通じて、

両者が同じ場所に居るような錯覚を起こす程に、

リアルタイムのドキュメントを味わえます。

総入れ歯の患者さんです。

前回の治療は、私が行いました。

三枝メソッドでの総入れ歯の治療の実際です。

今回の治療は、

前回の続き。

モニター画面を通して、

水橋准教授の手先が鮮明に見えます。

時代は変わりましたね!

で、

今朝、

水橋准教授からお電話を頂きました。

先生の喋り口調に、

見学の学生たちが盛り上がったンですよ!

ホッとしました。

学生諸君に歯科を好きになって貰いたい。

現場の若手の准教授に、

ワクワク感でもって、

学生諸君の教育にあたって欲しい。

序でに、

私の技術継承も行いたい。

テクノロジーの進化の恩恵に間違いなく預かっています。

 

普通が1番

土曜日の夜は、

復活前夜祭をお祝いするために、

神戸市中央カトリック教会へと。

今年に入ってからは、

高松市の教会でのミサへは足が遠のいています。

まぁ、なにかしらキッカケが出来るでしょう。

何事も神さまの思し召しだと思っています。

一般の方は、

キリスト教と云えばクリスマスかと・思っていらっしゃるでしょう。

でも、

この復活前夜祭がカトリック教会での最大のセレモニーなのです。

この日、

世界中のカトリック教会で、

新たな信仰を求める方たちが、

一斉に、

洗礼の儀式を受けるのです。

当日、

ここの教会では10名近くの新しい信者が生まれました。

その中でも、

30過ぎたくらいの女性が1歳ほどの幼児と共に

洗礼を受けておられました。

この方は全盲であることを、

自己紹介の際に公表されておられました。

この母子に祝福がありますようにと、

私は秘かに応援のエールを送ったのです。

で、

一般の方も是非に、

1度はミサに参加して頂いたいと願うのです。

ミサでの【神さま】を、

ご自身の信じる【仏さま】に置き換えて、

ミサの台詞を聴いてみて欲しいのです。

尊い神仏に変わりはありません。

天に感謝する気持ちのキッカケになると思います。

今、健康で過ごせることに感謝しています。

 

 

 

 

キャスト・ゴールド・レストレーション

大学へ出勤した序でに、

私自身も、

歯科治療を受けています。

歯科大学に入学してから直ぐに、

当時、歯科保存学第2講座の新入医局員だった

現・日本歯科大学歯科保存学第2講座教授の新海航一先生に

歯科治療を受け始めたのです。

ですから、

新海先生の新米時代の治療は、

正に35年以上も私の口腔で機能していた事になります。

新海先生の治療は、

コレまで受けた治療とは全く違っていました。

ラバーダム防湿法の徹底は勿論のことながら、

診療に対する【粘さ】に、

新海メソッドの独特さがありました。

で、

今回治療に際して、

三枝はゴールド・インレーだよね?

年に1本あるか・ないかと云う塩梅なんだよね。

久しぶりで嬉しい。

コレが本音なんだと思います。

ダイレクト・ボンディング修復も好きですが、

奥歯の治療の最高素材は、

見た目を除外すればゴールドだと確信しています。

と言っても、

時代は【審美】一色。

ゴールドが敬遠されて随分の期間になりました。

ですから、

技術継承ができていないのも事実です。

私の採った歯型からの模型で

歯科技工士の造ったゴールド・レストレーションです。

私も歳をとりました。

ウルサイ事は言いません。

で、

私流に技工に手を加えて修正したのがコレ。

で、

口腔内のゴールド・レストレーションです。

 

学生食堂

学食では、

大勢の学生さんたちと一緒に列んで、

順番待ちです。

トレーを手にテーブル席を見渡すと、

学食ですから当たり前ですね。

学生ばかり。

昼メシ時くらいは、

恐い教官が近くに居たら

オチオチと飯も喉に通らないだろうと、

コチラ側が気遣いするのです。

で、

隅っこへと。

同じ心境なんでしょうね。

後から来る白衣の教官、

ソレも私の年齢以上。

知らぬうちに、

私の周りに輪が出来るンです。

この間も、

会話の中で、

歯内治療の江面教授がつぶやきました。

学生が治療を見学するのは一向に気にならないんだけど、

治療が終わったらサッサと、

ありがとうございましたと挨拶して出てゆくんだよ。

カルテを記載している処を一切見てない!

カルテの中に、

治療に際して、

医師が何をどう診断して、

どういう根拠で、

何という治療をしたのかが書かれてゆくのに。

その通りなんです。

私の場合は大学のご厚意で、

治療の際には水橋先生がご一緒ですから、

治療しながら水橋先生に、

私の診断、考え、治療のコツ、

全般を話しながらですから。

カルテ記載は水橋先生に全部記載して頂いてるんです。

見学の学生は楽なはずです。

全部私が手の内を話ししながらの治療ですから。

私の考えです。

患者さん自身にも聞いて貰っているんです。

治療において患者さんに隠すことは一切ありません。

そんな話しを江面先生にすると、

三枝はサービス精神旺盛だなと。

そうかもしれません。

私はお客さんファーストです。

大学でのお客さんとは、

患者さん、学生諸君、職員、掃除のオバチャンたち、

送迎のタクシーの運転手さん、

大学に関わる人間全てだと思っています。

そんな老齢教授陣の内輪話しの場が

学生食堂ナノです。

 

 

桜咲く

羽田発の朝1番のフライトで今朝帰郷しました。

朝10時からの診察に間に合いました。

日本歯科大学1年生にとって恒例行事となった

私の特別講義も、

無事に終了しました。

毎年、毎年、

若い人の【感じ】が変化しているのに

気がつきます。

取り巻く環境の変化に

人が順応する様相を実感しつつ、

時代時代に合った講義をするのも大変になりました。

歯科医学の原理原則は不変でも、

人は変化する生き物ですから。

新潟はもっか桜、桜、桜。

私の好きな萬代橋へも、

いつも通りの道順で、

早朝の散歩を、

滞在中、繰り返すのも、

時代の変化とは裏腹に、

相変わらずの私です。

歯根破折

今日の新患の患者さんも、

【歯根破折】が原因です。

マイクロスコープを使った根管治療は、

ある面において、

気をつけなければなりません。

根管内を拡大し過ぎる歯科医師が多いのも事実です。

見るために、

根管内を広げて、

見えやすくする。

気持ちは判らないではありませんが、

ソレなりの、

技術をお持ちの方に限るってことを、

勘違いなさってるのでは?

広げ過ぎた根管は折れることを知っててのことでしょうか?

ニッケル・チタン・ファイルも同様です。

ソレなりの技術をお持ちの歯科医師がお使いになられるのと、

そうでない方のソレとは、

同じ道具でも、

結果はマ反対です。

己を知る。

コレは本当に大事ですね。

私には、ニッケル・チタン・ファイルを

上手に・精確に使う自信はありません。

その練習をしようとも考えません。

ニッケル・チタン・ファイルは、

私の知る歯の解剖学からすれば、

使ってはならない道具ですから。

ニッケル・チタン・ファイルで一気呵成に

根管をスルー!

気持ち良いでしょう?

でも、

不器用の手にかかった機械的根管拡大は、

根管を壊すだけ。

壊れた根管の歯は折れるでしょう。

ファイバー・ポストも同じです。

考えて使わないと。

なんだか、

最新のモノばかりですね。

歯科の商業雑誌のケースレポートなんかや、

メーカーの製品説明会ばかりを

丸々・信じる素直なる歯科医師の仕事って、

真っ直ぐな心とは反して、

結果は折れるンです。

歯の痛みを取れない歯科医師って

この際に、

私からすれば、

何がキッカケになられたのは判りませんが、

本格的に歯を治したい!

そんな患者さんばかりで、

私の診療所は成り立っていたのです。

ところが、

ここ1年ほどでしょうか?

ときどきに、

歯医者に通ってるんだけれども、

激しい痛みが全く消えません!

助けて~!

そんな急なお電話を頂戴する機会が増えたのです。

助けて~・と聞いたからには、

本当に困った時の歯科医院としては

扉を大きく開きます。

で、

診察。

?????

なぜ・痛みの原因が判らない?

お会いしたことの無い歯科医師に

心で問う私。

観てくればかりにしか関心がなかったツケでしょう。

歯は身体の1器官です。

痛み発症のメカニズムを熟知し、

どのルートが原因になっているのかを、

丁寧に診察すれば一目瞭然。

痛みですか?

その治療の直後には消えてますよ。

ソレがプロフェッショナルの仕事です。

美しさへの憧れ

大学の学生時代のことナンですが、

自宅アパートで一杯ヤッてたんです。

当時はカナディアン・クラブを好んで呑んでました。

あては、

大概は茄子と胡瓜の漬物でしたね。

グラスはバカラでしょう。

で、

漬物の方は、

焼き物の抹茶碗が定番だったですね。

人間国宝の作でした。

漬物と焼き物の色加減が、

酔いを良いモノにしてくれました。

ただ、

盛り付けには、

工夫したモンです。

美しさを大切に思ってきましたから。

こういう・こだわり・は、

育った環境にアルンだと思います。

季節ごとの食器。

料理にそぐった器。

食器の上の料理の盛り付け。

見た目美しさの基準は、

感性の物指しだと思っています。

子供の食卓に供するハンバーグステーキと野菜のつけ合わせ。

このような日常を

親の物指しが将来パンチとして効いてくるんだと思います。

無地の皿に載せるだけなのか、

工夫して・美しく・見せる仕掛けをするのかが、

とても大切だと思っています。

そういう積み重ねが、

私は自分の歯科治療に生きてるんだと

コレは実感しています。