何時だったか忘れてしまいましたが、随分と昔のです。

夫婦喧嘩の折りに、器の小さな男と言われたことがありました。

その台詞に発狂したことはよく覚えています。

私は昔、医局に在籍していました。

大勢の男の仕事場です。

若い私からして観ても、器の小さな男は確かに居りました。

強い者にヘリクダリ、言うべき時には寡黙で、リスクを嫌い、世の体制のだけ敏感な、

決して勝負の出来ない人を器の小さな男と、私は評価していました。

今年の大学１年生の講義で、私は田中角栄元首相の肖像写真を学生に披露した時のことです。

私は新潟の生んだ巨星として、当然、新潟歯学部の学生たちは知っているだろうとという前提で、

元首相の肖像写真とともに、首相が好んで認めた

【末、遂に海と成るべく山水も、しばし木の葉の下を潜るなり】

修行の道に入る学生を木の葉の下を潜る水に例えてと、話を展開しようとしたのが間違いでした。

何故か？

田中角栄元首相を知らんかったんです。

時代は大いに変わりました。

私は大人の男になりたいと、

若い時分から、訳もなく、そう思っていました。

歯科界の巨星たちからも可愛がられました。

政治家や役者からも可愛がられました。

で、年齢は遥かに大人の男ばかりでしたが、

皆、子供心に溢れた憎めない可愛い人物ばかりであったように思います。

当然、修羅場をくぐり抜けた人物ばかりですが、器が大きいとは云えぬ、

皆が煩悩を抱え、悩みや嫉妬という人間特有の臭いも、相当に持ち合わせていたと記憶しています。

書物から学ぼうと多くの著作にも触れました。

私の贔屓は、言わずとしれた池波正太郎氏と伊集院 静氏です。

どちらも１本の筋道を感じます。

が、彼らを今に生きる人、特に女性は彼らを器の大きい男と感じるのでしょうか？

人前でレディファーストを演じる日本の男を私は信用しません。

女性に酒の酌を当然のようにさせる男を私は軽蔑します。

ただ、これはコダワリ、流儀の問題であって器とは関係ありません。

池波正太郎氏の著作の長谷川平蔵当たりが、器の大きな男なんでしょう。

が、その産みの親たる池波正太郎氏なんぞは、私は大好きですが、

今の世ならば変人処かDVの典型だと女性陣からの非難ごうごうの最中で、

氏は唖然と立ち竦むに違いありません。

女性からの評価は、仕事の上に於いても大切ですが、

女性の気に入る男って、本当は器の小さい男が多いんですが。

本当に長谷川平蔵のような生きた人間に接した機会はありません。

今朝は初診の患者さんで２時間ほど。

続いて手術が2症例です。

骨の移植の手術です。

仕事が忙しいことに感謝しています。

私は生まれ変わっても、歯科医の仕事に就きたいと願っています。

が、子育てが終わり、年老いて技術が衰えたと自覚した時は、

越後の雪深い山寺で、寺男の下僕となり、

日々を、黙々と落ち葉を掻いて、

寺の境内をひたすら磨き、

仏様の横で人生を終えたいと願っています。

また、歯医者であれますようにと。

開業歯科医というのは、毎日を患者さんの診察で明け暮れて、

余暇はゴルフや盛り場、趣味は高級車だと思って居られる方が多いのだと思います。

其れは半面、正しいのかもしれません。

だからこそ今日、歯科の信用は失墜したのだと思います。

若い時分に、阿呆の限りを尽くして放蕩三昧であった私です。

其れは今になって、栄養になったと感じています。

私の毎日はインプラントや審美歯科の最先端であるのは事実です。

が、これ等の治療も、基本的な些細な治療の積み重ねから、初めて治療成功へとつながるのです。

歯医者の仕事の基本の基本は、やはり虫歯の治療です。

私の遺された歯科医人生は、この虫歯との戦いに費やそうと思っています。

虫歯を制御出来れば、歯の神経を採る必要もありません。

虫歯を制御出来れば、大掛かりに歯を削る必要もありません。

母校である日本歯科大学との共同の研究も、既にスタートを切りました。

私は最後の再後まで、歯を守る番人でありたいと願っています。

友人から近況を尋ねられて

最近、娘たちがお茶の手習いに通だし、

其処からの帰宅の度に、娘其々からお点前を頂戴することになり、

そういった中で、幸せを感じるようになったと答えたら、随分と驚かれました。

先に、日本3大銘菓の１つに新潟の菓子があり、

越乃雪と名づけられたこの菓子を口に入れた瞬間に

佳い菓子だなって感じましたが、

こういうのって良いですよね。

人の幸せっていうのは、ささいなもんですよ。

私は歯医者に成りたくて成りたくて、この仕事に就きました。

本当に幸せ者だと思います。

だからこそ、今までの人生において悔やむことや悪さは随分としてきましたが、

歯に関しては、手を汚さず過ごしてきた自信はあります。

食べる手段として歯科医を続けてはこなかったと。

それだけでしょうかね。

子供たちに胸をはって言えるのは。

もう忙しくて忙しい処、

患者さんの予約を入れるのに、ここの合間で何とかしよう❗

昼休みも抜いて何とかしようと、アレコレ知恵を搾っての毎日が戦争状態です。

そんな私の診療所であるのに、突然、当日に予約の変更を伝えてくる方がタマにいらっしゃいます。

昔の私であれば、短気でしたので、次は予約は入れませんでした。

が、歳ですね。

風邪で熱が出たとか、家族の具合が悪いっていうのであれば、

いくらなんでも、昔の短期な私でさえも怒りはしませんよ。

診療所にしても、レストラン、ゴルフ場の類い、全て同じだと思っています。

店側の毅然とした空気なり雰囲気が、顧客の質を保っていると思っています。

診療行為は、此方としても命がけの気構えで当たっています。

私の診療所は金持ち御用達のサロン歯科ではありません。

確り治療を受けたいと覚悟されてお越しになられる方の歯科医院です。

いい加減な気分で、気軽に歯医者でチョロッとという方には、

私は時間を割けません。

空いた時間は、有効に使っています。

今日はインターネットテレビで、【像の背中】という映画を

細切れで観ています。

役所広司と今井美樹の共演、良かったです。

目頭が熱くなりながら、

途中で患者さんの診察に戻りました。

長い間のご無沙汰で、突然に連絡を寄越す知人、友人の類いで心地好い話しは先ずは期待しない方が良いように、

ルーズな方との時間は、苦痛の原因です。

其れならば、為になる映画を観る方がズット心に良い影響を与えてくれます。

嫌々、私も丸くなったもんです。

今日も昼休みは取れそうにありません。

私の診療所は、お一人づつしか診察室に患者さんをお通しいていません。

ですから１日に拝見出来る患者さんの数はしれています。

感染症対策を完璧に講じていますので、

その面でも多くの患者さんの診察が出来ません。

てな訳で、昼休みも徹して診察に明け暮れています。

スタッフは頑張ってくれています。

感謝しています。

小さな小さな歯科医院ですが。

患者さんにとっての歯科の最後の砦で在ろうという大きな志は持ち続けています。

この間までの寒さは何処にいったのやらという程の、暖かな休日です。

朝から娘たちは、塾の模擬試験だそうな。

結局、早朝から車をだす羽目となり。

で、私も行くところもないので、診療所へと出向いて、

何時ものように、カルテを開いて患者さんの診療計画に頭を悩ませる日常です。

歯科医と聞けば、皆は楽して稼いでいる稼業のように思われているのかもしれません。

私だけなんでしょうか？

学生時代に放蕩三昧の罰が当たったのか？

カルテとレントゲンとのニラメッコだったり、

実験室に隠ったりでの四半世紀です。

これはこれで楽しいといっちゃあなんですが、

案外、喜んでやってるンでしょうね。

今日の診療は、大変気を使う性質のモノでした。

帰宅の途中で、娘の居室の新しいストーブを買い求め、

スーパーへと。

今夜は手抜きで、焼き肉にでもしようと。

米を炊き、その間に味噌汁を造りながら、

娘たちに犬のお世話をおねがいして。

ひととおりの焼き奉行の大役が終わったあとは、後は委せて

寝床へと倒れ混みました。

で、世間でいう深夜に目覚めて、本来の医師であるデスクワークに勤しんでいます。

マリリンは相変わらず、私の足元に。

後は其々が、娘と添い寝で、きっと良い夢の中なのでしょう。

この生活のパターンは、未々先は長いのでしょう。

例年、年末年始は雪の新潟で過ごすのを常としていました。

私も歳ですね。

雪の北陸道を大勢の犬たちと、かしましい３人姉妹を引き連れての

長い道中は、身体に堪えるようになりました。

寒い時期を温かい処で過ごすのが大半なのでしょうが、

私は疲れし時には、北へ北へと足が向かいます。

正月から頻繁に掃除や食事の準備に追われるのも気が重く、

今年は大山の犬同伴可能のペンションで正月を過ごすことにしました。

犬たちと娘たちが雪に埋もれて、さてどの様にはしゃぐのだろう？と、

さぁ、其れまで今年最後のラストスパートだと意気込んでいます。

大勢の新しい患者さんが、押し寄せてくる程に慌ただしい日々を過ごしています。

技工士さんからは、

ー 先生の処は難症例ばかり集まって来ますね❗ ー

そうかもしれません。

私は、其れで良いのだと思っています。

最後の砦が、私の診療所ですから。

本当に困った時に思い出して下さい！

は、正に生きていると。

私の腕の見せ処です。