カテゴリー別アーカイブ: ただの日記

マリリンと一緒

私の心が平静でない時に、

マリリンは自然と察知するようです。

自宅で留守番はしません。

玄関戸をすり抜けでも、

助手席に飛び込みます。

院長室の階段を、

私の方を振り返りつつ、

院長室のソファーへと。

でも、

私のデスク脇の小さな机に

寝そべって、

顔は、あくまでも私の方へと。

私もショッチュウ、

左手でマリリンの頭を撫でています。

落ち着いて、

仕事に精を出せるのも、

このマリリンのお蔭です。

花形役者

一番誰を尊敬していますか?

誰のような人物に憧れていますか?

そう問われら、

答えは明白です。

【藤山寛美】に決まってるじゃあないですか?

もうこの時代、

あれほどの役者のなかの役者は居りませんよ。

寛美の舞台、

それはそれは見事でした。

舞台から降りたプライベートでの寛美も、

それはそれはスターの風格が在りましたよ。

で、

楽屋の窓にもたれて煙草を燻らす際に、

淋しがり屋で気に小さい男の顔に戻るんです。

が、

楽屋のドアを誰かがノックして入った瞬間、

再び、

藤山寛美の顔に態度に変えるんです。

寛美七変化は舞台だけではなかったのです。

コレが花形役者なんだ!

と、青春期に鮮明に洗礼を受けましたよ。

歯との暮らし

夜中の3時って未だストーブが要るんですよ。

目覚めたら直ぐにジャンバーを羽織って

マリリンが用を足すのを、

ポケットに手を突っ込んで眺め、

で、

直ぐに折り返して家の中へと。

ストーブに火をいれて、

珈琲を啜りながら、

色んなこと考えていました。

仕事着のワイシャツが干したままであったと。

観れば半渇き。

空っぽになった衣装棚の一つだけ空でない半透明のボックスを

引き出してみました。

4、5枚でしょうか。

洗ったあとクシャクシャに丸められた私のワイシャツが

突っ込んでいました。

しばらく屈んで、

眺めていました。

あぁ、此れがこの家での私の真実の姿であったんだと。

一生懸命に守ってきた積もりであったのは、

一人よがり、

一人相撲であったのだと。

涙が流れましたよ。

マリリンも判るんでしょうね?

あんなに食欲旺盛であったのに、

食べません。

つくづく歯科医師で良かったと、

今日は本当に実感しています。

でなければ、

私は折れてしまうでしょう。

歯には、

また助けて貰いました。

ブリッジも良い治療です

お分かりになりますか?

下の奥歯にセラミックのブリッジでの治療痕跡が在ります。

と言っても、

ブリッジの橋桁は大臼歯だけです。

手前の第2小臼歯には歯の根はありません。

ですから、

この大きな噛む力の架かる奥歯のブリッジは

前へと倒れる力を受けています。

患者ですか?

噛めない!噛めない!

歯医者に伝えても、そんな筈はないと!

そうした経緯で私の診療所へお越しになられる患者さんは多いですね。

もったいないと思わないで下さい。

ブリッジを除去します。

これはジックリト歯を駄目にする

長期抜歯装置でしかありませんから。

この治療した先生は悩んだんでしょうね?

歯のない処の幅が狭い狭い!

インプラント入れようにも、

人工歯を並べるスペースがない!

で、

こんな素人仕事ってな結末に至ったのででょう。

歯がない処はインプラントって、

端からそう頭にインプットしているから、

こんなブサイクな長期になるんです。

この症例はブリッジの適応症です。

ただし、

クラウンを歯肉が受け入れる準備ができていません。

歯肉強化のための手術をして、

先般、

安定したブリッジをお造りしました。

大人の男

ふとテレビで【鬼平犯科張】が眼に入り、

観いってしまいました。

もうなん十回も観たにも拘わらず。

【血頭の丹兵衞】の巻です。

この巻から【小房の粂八】が鬼平の密偵となると云う

名作でも在ります。

牢の中で鬼平が粂八と茶碗酒を酌み交わしつつ、

粂八の過去を問う場面がとても良い。

あっしは二親は居りやせん。

もの心ついた時から、

おっばあに手をひかれ、

まぁありは雪、雪、雪でさぁ。

凍えるほど冷たくて、

腹もすいて、

そのおんばぁも道端で亡くなっちまって、

其処からは、

御決まりの次第ってもんでさぁ。

鬼平は黙って聞きながら茶碗酒を呑みつつ、

俺にも親は居ねぇんだよ。

母親の顔も俺は知らねぇんんだ。

人は様々な過去を背負い、

想いを封じ込めて、

それでも生きているのです。

弱音ばかりはイケマセンなぁ。

もう流す涙は、

私には枯れてしまったようです。

大人の男って辛いものですね。

 

マリリンと

昨日、急患の患者さんがお越しになって、

診療している時は楽しかったですね。

あとは、

家で眠ってばかりでした。

食欲もなく、

テレビも眼に入らず、

本も頭に入らず、

物置小屋の鍵が見つからず、

庭作業の道具がなく、

車の手入れするほど傷んではなく、

マリリンと眠ってばかり。

マリリンって面白いんです。

同じ枕の端っこに鼻の頭を乗せてくるんです。

掌で、大きな長い鼻を撫でてやりながら、

私とマリリンは

自然と眠ってるようです。

私は体温が高いんだそうです。

知らず知らずマリリンは、

足元に移動して、

大きな身体を横たわっています。

こんな休日でも、

私は決まった時刻に目が覚めます。

身体がそうなっているんでしょう。

で、

起きていつものように。

家での決まり仕事を終えてからが困っています。

することがない。

今日は少しばかり足を遠くまで延ばしてみましょう。

マリリンと。

息子の成長

息子から電話を貰いました。

父ちゃん、暇で淋しいだろ?来れば?

う~ん。そうでも無いのや。

書類の山を片付けんとな。

それに交通渋滞だろ?

でも、ありがとうな。

この息子も、

ご多分に漏れず、

大変な反抗期でした。

息子の口から出る言葉は、

私をボロボロにしました。

しかし、

何時かは判ってくれると信じて、

私は馬鹿に成りきって

息子への信号を送り続けました。

愛情の信号です。

私は馬鹿ですから、

家族全員に対して、

愛情の信号を送り続けて来ました。

息子は、その辺の処は消化できていないようです。

歳を考えれば、

未だ青春期真っ只中。

大人の男には育っていません。

泣いた数だけ、

男は大人へと変わって行くものです。

私の心情が少しは判ってくれる年齢になった処でしょう。

息子に聞きました。

アレホド嫌った父ちゃんを何故、心配する?

父ちゃんだけが最後まで俺を信用もし、

評価してくれるから。

あと、甘ったれだからね、父ちゃんは。

今、鬼に成らねば成らんと決意している私ですが、

息子曰く、

父ちゃんのことを知っているのさ。

ただ、それが父ちゃんの寿命を縮めていることの

愚かさに気づいていないのさ。

父ちゃんが死んだら、

罪悪感で苛まれりると思うよ。

俺の母ちゃんは、

頭は良いが、

人の愛情って知らないで育ったんだと思うね。

森の石松から

今朝は急患にて診療所へ出て来ています。

徳島県ご開業の医師の患者さんです。

インプラントの上に繋ぐキャップのような部品が

緩んで取れたとのこと。

どちらもが休診日であるので、

却って都合が良く、

今朝、お出で頂く事に相成りました。

お約束の時刻よりも2時間ほど早く出勤し、

診療所の全ての窓を全開にして籠った空気を入れ替えし、

石階段の雑巾掛け、

フロアーカーペットの掃除機掛け、

序でに、

掃除機の吸い口の掃除などと、

ジッと出来ない質なのです。

マリリンは同伴です。

院長室のソファーで寝そべりながら、

向かい側の私のデスクのほうをチラホラと。

穏やかな朝を過ごしています。

通常、診療所では院長室の中に居ても

落ち着きません。

診療所のドアを開けた瞬間から、

私の気持ちは高揚しているからです。

飄々と観せているのは、仕事の顔であるからです。

患者の一挙一動を見逃すまいと、

医師の眼で診ています。

長い緊張感の持続を必要とします。

ですから、

自宅では辛かったですよ。

自宅は私の欠点をジッと探されている場所でしたから。

今は今で辛いですね。

自分たちの大切、必要な品だけ持ち出して、

生活感が残っていますから。

日本の男を本当に怒らせたら恐いよ。

私が幼い娘たちに教えていなかったことが、

この言葉です。

浪花節が好きで、

森の石松最後の巻のクライマックスに

なんど咽び泣いたか判りません。

喧嘩っ早い石松は、

次朗長親分との硬い約束にて、

金比羅様の参詣の道中に喧嘩しないと

刀の鞘と刀の鍔に封をしていたのです。

ヅタヅタに切り刻まれても、

石松は、

親分との約束を守ったまま死出の旅へと。

その結末を知るや、

清水の次朗長親分は怒りました。

怒りは富士のお山の高さを凌いだものでしょう。

大勢の子分衆を率いて、

石松の仇を打つその続きも圧巻です。

人は我慢の時も必要です。

耐えて、堪えて、

ジッと屈み、

自己を反省し、

自己を見つめ直す時も必要です。

が、

我慢にも限界ってものが在るってことを、

人は知らなくてはなりません。

男の生き甲斐

家の掃除と云っても、

散らかさないので、

床の拭き掃除くらいなもので、

芝生を刈ろうにも、

何処に置き忘れたのか、

物置小屋の鍵が見当たらず、

結局、眠ってばかりです。

疲労が身体の隅々にまで及んで、

傷みきっているんだと思います。

仕事での辛さや苦しさと云う意味合いのものではありませんでしたから。

横になってズッと考えていました。

何か対応策が在ったろうか?

手立ては無かったか?

私が全ての感情と人格を棄てることくらいしか

無理だわなと。

それは出来ぬ相談ですから。

もう懲り懲りと云う言葉しか感情がありません。

男にとって仕事は、

戦いであり、

生き甲斐です。

ゴールデンウィーク明けから再び、

ダッシュするためのエンジンを全開にしなければなりません。

この数日間の間に、

心を整える事に精をだそうと、

目覚めの珈琲を飲みながら、

決意しています。

おもしろい人

昨夜、久しぶりに友人と逢いました。

新潟県三条市のご出身です。

71歳。

東京音楽大学教授である武田真理先生の夫君です。

ザックバランな方です。

デザイン関係の仕事で活躍されておられたのに、

そんな事をおくびにも出さない、

で、

芸術には一言語るだけの眼を持っておられるのが

要所要所で判ります。

面白い方で、

私は氏とは妙にウマが合うのです。

短気でせっかちの結晶のような方です。

教授先生の奥方は、

まるで我が子を慈しむような眼で、

大いに語る夫の顔を

笑みを浮かべて観ています。

良い夫婦だなと。

奥方先生に聞いてみました。

こんなに短気で怒りっぽい夫と喧嘩になりませんか?

こわかぁないですか?

この親父、怒らしたら恐いぞ!

そんな夫君ですから。

で、

答えは、

う~ん?

怒る壺が解ってるの。

そこさえ、ねっ!

ただ1回だけは震えあがったわ。

普段の些細なことからではないの。

私の講義の準備を観て、

もう凄まじい爆弾が炸裂したの。

お前らは、こんな程度のエネルギーで、

お金を貰って学生さんに教えてるのか!って。

脚が震えあがったわ。

この人、ハチャメチャだけど、

何事にも真面目だから。

私は氏がますます好きになりました。