カテゴリー別アーカイブ: ただの日記

歯は情念を語る

観て下さい。

摩り減って、

踏ん張っている臼歯たち。

エナメル質なんぞ消えてしまって、

焦げ茶色に変色した象牙質が、

堪えに堪えて、

硬くなってます。

部分的には歯科医師による

治療と云う名の介入を受け、

歯は、

混乱しきってます。

さぁ!

どう手当てして、

長持ちさせましょうかね。

【噛み心地】

【喰いしばる】

など、

心模様を表現するのに

歯を抜きに語れません。

そうです。

感情と歯は

切っても切れない関係なのです。

歯は語るのです。

情念を現す臓器、

其れが歯なのです。

先のデュエットゥへのメッセージではありませんが、

私ら職人は、

自分だけの【技】を身につけなければなりません。

私の技?

歯と語れることでしょうね。

命の歌

東京音楽大学ピアノ科の教授である武田真理先生よりも、

ご亭主の方とウマが合い、

旧知の間柄のようになりました。

真理先生の御母堂である武田宏子先生が

天に召されて初めての夏を迎えています。

宏子先生は長年の私の患者であったと共に

私の仕事人としての師匠でも在りました。

今でもしばしば、

何かにつけては、

宏子先生のお顔を思い出すのです。

そんなこんなで、

真理先生とも知り合い、

で、

ご亭主とも。

ご亭主は新潟県の出身です。

越後人は良いですよ!

真理先生とご亭主が知り合った頃の話しを聞きました。

ご亭主が真理先生に言ったんだそうです。

あんたらは判ったような顔で演奏しているが、

俺に言わせりゃ、

全然駄目だね!

そんでもって、

真理先生の腕をつかんで、

連れてった処が、

荒れ狂う冬の日本海。

操業する漁船に乗っけたのだそうな。

3日3晩眠っていないフラフラの海の男たち。

いつ船から転げ落ちないかと、

そんな木葉のような大海原のなかの漁船群。

が、

その時レーダーに魚群の影が写ったのだそうな。

一気にライト群が点灯し、

海の男たちは動き出したのです。

で、

バックには北島三郎の歌が鳴り響く。

エイヤ!サッ!エイヤ!サッ!

男たちは活きた肉の塊と化して、

網を引き揚げるのだそうな。

コレが本当の命の歌だ!

ご亭主は真理先生に叫んだのだそうな。

真理先生ですか?

ご本人によれば、

これにはマイッタわよね。

だって、

クラッシック音楽では

あの命のヤリトリはできないもの。

しかし、

ご亭主のこういう処が、

私は好きなんです。

最近、

ご亭主から電話を頂き、

先生、家人と婆さんの弟子で

良いプロになった奴らが居るんですがね。

チョッと、

相談のってやってくれませんか?

浪花節と都々逸なら

私も一言持ってはいますが、

クラッシックとなると、チョッと無理が在ると、

医局時代の恩師である山口隆二先生に回したのです。

結末ですか?

デュエットゥなるプロ演奏者の二人ですが。

CDを送って下さったので、

私も真面目に聴きましたよ。

なんでも山口先生は詳細なる感想文を

レポート用紙に記載して返されたそうです。

電話で私に感想を聞くデュエットゥ。

車に乗った時に聞いてます。

?????

車で聴いたら悪いんかい?

家にはお仏壇の横に

お経をかける

ポータブル機器しかねぇもん。

で、先生どうでした?

う~ん?

上手いね。

でも、

このご時世にお金を払って聴くかねぇ?

悪いけどな、

あんた、

津軽海峡冬景色をヤってくんねぇか?

命の歌だがね。

私は、

それも在りだと思うんです。

ピアノを自分の身体の一部のように

あれだけ操れるんですもの。

日本人の誰もが知ってる曲で、

聴いたことないような音出してくれたら

それこそ

命を震わせてくれたら

私はクラッシック音楽をみんなが振り向いてくれる

良いきっかけになると思うんです。

難しい手術の際に、

執刀する私のバックには、

都はるみですもの。

そんな話しをご亭主にしたら、

ヒャッヒャッ!

大声で笑って、

先生、良く言ってくれました!

そのあと、

北島三郎の祭りをアイツらに

弾かせてみようと、

私ら二人とも、

ドレミも弾けませんのに

大人の男二人のイタズラ心に火がついたのです。

 

 

 

アナログ派

デジタル化の時代です。

若い歯科医師から診断の相談のために、

レントゲン写真をメールにて添付される機会が増えました。

メールにて即座の画像のやり取りができることは

大変有意義な事です。

が、

口腔内写真は兎も角として、

私はデジタルレントゲンの画像を

どうしても好きになれません。

診療所を新築した際に、

先々を見越して、

デジタル化のための配管を床下のアチコチに

張り巡らせはいるのですが。

無論、

CTはデジタルです。

しかし、

歯のレントゲン写真と

パノラマレントゲン写真と云う

歯と周囲の顎骨の概要を視るためのレントゲンにおいては、

昔ながらのフィルムを暗室にて手現像する事に徹しています。

何故?

デジタルレントゲン所見を信用できないからです。

嘘!でしょとは言わないで下さい。

断言します。

良質のフィルムを

徹底管理された現像液と定着液を使った現像処理にて

仕上がったレントゲンは、

とてもとても鮮明に、

【事実】を正確に表現します。

音楽の世界においても、

アナログの音が見直されているのと同じかもしれません。

今、

根管治療が終わりました。

難症例でした。

根管が細い!細い!

しかも根管の先の骨に

微妙な炎症の影が在りました。

このような症例においては、

手現像でなければ判別不能です。

で、

治療を安堵して、

院長室へと舞い戻ったのです。

 

セラミッククラウンの秘訣

セラミッククラウンを提供する際に、

形は別として、

色調再現が歯科医師では無理!

そんな難しい色の歯も実際には在るのです。

セラミックを盛り上げて釜で焼くのは

歯科技工士さんだからです。

このような際の私は潔く降参しています。

患者さんにも、

正直に告白しています。

写真だけでは、

活きた歯のように

製作する歯科技工士さんに

色調のディテールを伝えるきれません。

先夕、

私の診療所に歯科技工士さんの姿が在りました。

先生はズルいですよ!

難しい歯の色ですね、この歯は!

こうして直接に患者さんにお会いしたら、

私は下手打てません。

そりゃそうだ!

其れが私の狙いですもの。

パレットの上の絵の具のようでしょ?

脇で私はウキウキ気分で眺めています。

歯科技工士さんはプロの眼ですよ。

ジッと一点に集中しています。

音ひとつない静寂の世界に包まれる診療室です。

私はここまでヤります。

プロですから。

緊張

昨日もインプラントの手術、

先ほどもインプラントの手術、

夕方からもインプラントの手術。

メスを手にする際には、

今でも緊張の糸がピンッて、

身体じゅうが張りつめています。

そういうモンですよ。

ですから、

患者さんが手術を前に緊張するのは

当たり前です。

決して恥ずかしいことではありませんよ。

いろんな方が居られます

根管治療の患者さんでした。

セラミッククラウンを入れた1年ほど経過した歯だそうです。

噛むと違和感が強いのだそうな。

早速、レントゲンにて診察しました。

根の先の骨が丸~るく溶けています。

歯は死んでいます。

セラミッククラウンを外して、

歯の内部を視ます。

神経のある部分から、

一気に排膿して来ました。

原因ですか?

歯を削る際の摩擦熱を防ぐための注水が不足であったか?

大きく削り過ぎたのか?

切削の際の摩擦力が強かったのか?

セメントの化学刺激の為せる技か?

いろんな事由が想像できます。

が、

この外したるセラミッククラウンの形態の大きいこと

この上なし!

打撲かもしれません。

あぁ、残念な結末です。

最初から来ていれば良かったと、

皆が一応に言われます。

が、

反して、

歯の大切さに全く関心ない方も

たまに居られます。

いろんな方が居られるのですよ。

私の身体は一つしかありません。

ですから、

歯をどうしても大切にしたいと

そう、思って下さる方だけ、

お越しください。

水に生きる微生物から

高松市は瀬戸内海に面した港街です。

水戸黄門さまの兄君を初代藩主として

この地を統治した讃岐松平藩の治世は安定して

領民は安泰に過ごせたようです。

本拠である高松城は玉藻城と呼ばれる

城の周囲を取り囲む掘りに

海を利用した海城です。

海に浮かんだお城のように見えます。

此処のお掘りにも、

当然に私は眼をつけています。

場所によっては濁ったいるからです。

 

で、

この写真はお盆休みに足を伸ばした際に、

道すがら偶然に見つけたパワースポットです。

鍾乳洞。

好奇心旺盛なる私は、

車を停めて、

中に入ってみました。

寒む~い!

迷路のような洞窟の足場の下には清水が湧き出ています。

こういう場所には、

外に溜まりがある筈だと。

無論、

採集する心で、

探し回る私です。

が、

ここは水が綺麗すぎます!

今時、珍しい綺麗な処だと感心したのです。

たまたま、

なんとか苔の観られる溜まりを見つけ、

水を採集。

しかし、

ここの湧き出る水は

おそらく日本で一番キレイんじゃないですか?

水源の微生物を研究する私の言うことですから。

 

由縁

夏休みも終盤戦を迎えたなか、

娘が溜まりに溜まった宿題を抱えて、

おそらく母親からの大目玉を食ったのでしょうね?

眼を真っ赤にして、

そんな姿を観ると、

大いなる親切心を持ち合わせた私ですから、

ドレドレ?

側に付きっきりで、

といっても、

崇高なる私の文体で、

娘に成り代わって書くこともできず、

父も昔は同じであったと、

慰めることが精一杯だったのです。

明日から新学期と云う日の夕刻になって、

小学生の癖に、

私は狭心症のような心持ちになった

あの日は、もう嫌だ!

今でも時々に夢でうなされるのです。

しかし、

娘の宿題のお陰にて、

大いに勉強になりました。

私の診療所は高松市亀井町に在ります。

この亀井町の由縁を知ることとなったのです。

渇水で名高い讃岐高松市です。

が、

診療所周辺は地下水が豊富で、

しかも水質も大変良好なのです。

近くの亀戸神社の井戸水が名高く、

其所から、

亀井町となったそうな。

猛暑のなか娘と、

ビル群の谷間の、

普段であれば見落とすほどの

小さな小さな祠へと。

あぁ!この井戸が由縁であった!

そんな貴重な時を過ごしていました。

 

遠くに来たもんだ

実際の日々の診療は、

インプラント、マイクロスコープ治療に

入れ歯造りに追われています。

が、

研究に関しては

もっぱら虫歯の制御のための微生物の性質を検討中。

開業歯科医が研究?

当たり前じゃないですか。

研究することを放棄した臨床家は

【考える】ことから眼を避けた

生きた医療ロボットでしかありません。

私は何時までも

何故?

何故?

尽きない興味を追いかけてゆきたいのです。

しかしながら、

日本各地の水系と微生物の関係に

詳しくなりました。

私の研究対象である微生物は

全国各地の沼などの水源に生息しています。

ただし、

水の質によって、

活性度が違っています。

もっぱら私は、この微生物の餌として、

虫歯の象牙質を与えて、

その代謝を観ては、

あるメカニズムに気がついたのです。

本年、

日本歯科大学の岡準教授が触発され、

オドントロジーと云う専門誌に英語で論文発表したのも、

この流れからです。

彼は真面目な人ですから、

正面突破の素直な研究手法を採用していました。

これから城で云えば、

大手門をくぐり、

正面の石段を一歩一歩前進してゆくのでしょう。

元来のイタズラ坊主を自認し、

発案者たる私は、

違う進め方を選んだのは自然の成り行きでしょう。

私の微生物のウンコからテーマに攻めこんでいます。

そんなこんなで、

長いお盆休みは、

日頃なら到底足を運べない処まで

微生物採集に出かけることが出来ました。

まぁ微生物ってバイ菌ですから、

よくもまぁ!物好きなこと!

ってお感じになられることでしょう。

青年期、

初めて新潟市に赴いて散策した際に、

新潟大学医学部附属病院近くの

小路に立つ小さな石碑に気づき、

ハッ!

と、

身体が凍り付いた。

その時の記憶が私の無意識下の脳髄に

焼き付け現象を起こしたんだと確信しています。

其処は、

産婦人科の開業医であった荻野博士の診療所跡を

後世に伝える石碑だったのです。

基礎体温から推し測るオギノ式避妊法の発見者と云えば

あぁそうか!

皆さんも、その名前くらいは聞かれたことが在りますでしょう。

天下の大学病院の直ぐ其処で

個人医院を開業する度胸も凄いが、

患者さんの治療の傍らで、

研究生活を送った博士に対して、

私の将来の大きな目標となったことは言うまでもありません。

私には博士のような偉業を成し遂げることは無理でも、

夢を追いかけて、

コツコツ努力の人で居たいと思います。

行きは良い良い、

帰りは遠い!

車での移動故に運動不足となった犬たちに

束の間のご褒美。

本物のもてなしとウソつきのホスピタリティ

日頃では、

既に床に就く時刻ですが、

興奮して眠れません。

こりゃ眠れんわな!

それでも、

悲しい私の習慣は、

夜も暗いうちに起きると云う

朝寝坊の方々のために、

爪の垢なり鼻くそをコロコロ丸めて

丸薬【三枝目覚丸】として売り出してやろうか!

馬鹿はさておき、

特製粉末青汁入りのインスタント珈琲を自作し、

ただ紙コップにインスタントコーヒー、粉ミルク、砂糖、

で、

大正製薬の【からだ環境  青汁】と云う粉末を一気に入れて、

ポットの湯をそそぎ1、

インスタントコーヒー付録の紙スティックで

かき混ぜた代物です。

気持ちの問題だと人は笑うでしょう。

が、

気持ちの問題が何事にも大切なのです。

カフェインの効能が仇となるか?

珈琲を呑むと云う行為の持つ

心鎮めの効果が勝るのか!

コレは博打的チャレンジですね、キット。

座卓に座って、

珈琲の準備に追われて気がつきませんでした。

夕食のご飯は、

わざわざ土鍋で炊いて下さいました。

熱々の立ったお米に

佃煮風仕立てのちりめんじゃこをふりかけ、

で、

冷出汁をサラッと注いで、

無我夢中に、

一気呵成に喉奥に送り込み、

で、

旨い!のため息。

旨いと讃えつつ、

食い意地はった私は、

どうせなら出汁をかけずに、

白米で食べたかったと大いに後悔したのです。

が、

ハシタナイので、

我ながら我慢の子でありました。

部屋で、

信長とセミナリヨと題する書籍、

娘の宿題のまとめ、

採取した微生物の調べものの書籍に埋もれて

なんでしょう?

水戸黄門さま道中記にて見かける昔のお弁当包み。

嬉し、楽しみ、気が利くことに感動し、

丁寧に包みを開いて、

私が感動極まったのです。

先の土鍋で炊いたご飯で作った小さなおむすびが3つ。

ここにホスピタリティを見たのです。

 

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