入れ歯について その4.


私の診療所へとお越しになられます患者さんは、入れ歯をお持ちの際には、今までお造りになられた入れ歯を全て持って来られます。

あまりの数の多さ故に、驚いて、つい患者さんのお顔を見上げて見つめてしまうのも恒例行事となりました。

一応、全ての入れ歯を手にして拝見させて頂いている側から、どんなにか入れ歯で苦労をしたのか!を矢継ぎ早に私に語りかけるのも、
これではダメだと決意して訪れた歯科医院に於いて入れ歯の話し等はろくろく聞かずにインプラントを勧められた!と不満げに語るも
これまた恒例行事となりました。

巷の歯科医院で入れ歯の欠点を聞かされて私の診療所へお越しになられる患者さんへ、私がインプラントを勧めるなら
これ程楽な事はありません。

但し、総入れ歯に関しては、殆どがインプラント治療は必要なく、キチンとした入れ歯をお造りさせて頂ければ
患者さんも、新に快適な生活が送れるだろうと思われる症例ばかりです。

私は生涯、現役の歯医者で在りたいと願っています。

ただ、私が老人となった時に今のような細かな作業は到底出来ないでしょう。

ですから、今のうちから私は、総入れ歯の治療はより丁寧にするように心がけています。
今から何十年も先になって、私の指先に総入れ歯の勘所が確かに刻まれているための準備期間だと思っています。