もう40年近くも、
前のことになったのですね。
2月1日は、
昔から日本歯科大学の受験日です。
東京九段の富士見坂を校舎目指して
登っていた自分の姿が見えるようです。
あの日が、
私のスタートラインだったのだと、
時々に感慨深く、
思い出すのです。
昨日、
母校の医員から小包みが届きました。
論文の束と、
総入れ歯の模型です。
入れ歯を掌で包み、
全角度から視る私の眼が
相当、キツい眼差しだったんでしょう。
スタッフが怪訝な表情で、
どうかなさったのですか?
実に良い入れ歯でした。
考える診療という言葉が
的を得たような総入れ歯。
30代の歯科医師の作品です。
上手な歯科医師が、
母校にて、
確実に育っていることが認識できました。
胸が熱くなりました。
たかが入れ歯と思っていたら、
絶対に上手な歯科医師にはなれません。
入れ歯造りが楽しいなどと、
そんな気持ちで、
上手な歯科医師にはなれません。。
死にもの狂いな程に、
自分を歯に没頭させて、
もがいて、
苦しんで、
ノタウチ回って、
最後に、
なんとか形になってくる、
それが芸事の基礎の基礎です。
掌の上の総入れ歯から、
一坂越えた歯科医師像が
鮮明に伺えます。
清々しい気持ちになりました。
このような立派な青年歯科医師が
一人でも居る以上、
私は新潟へと足を運びます。
私もまだまだ、
上手に成りたい。
お互いに切磋琢磨し、
良い歯科医師を目指そうと。