生命歯学部


メンテナンスを自らの強い意識にて、

積極的に取り組んで下さる患者さんって、

本当は少ないものです。

恐らく、

大勢の患者さんは、

ただなんとなく、

そんなモノか、

そんな感じで、

歯科医院へとメンテナンスに通っておられるのでしょう。

先週の週末の出張まえのこと、

ご夫妻共に私の長い間の患者さんであるE氏は70歳男性。

某協会の会長職を務めておられ、

多忙な日々をお過ごしのなか、

月に1度は必ず、

自らの強い意識にて、

歯科衛生士による口腔内のクリーニングと、

私の噛み合わせチェックに、

お越しになられていました。

で、

今回のメンテナンスの際に、

私は【匂い】を感じたのです。

歯周病や胃の臭いではありません。

健康上の、

何か何時もと違う違和感を感じたのです。

私は患者さんとの雑談を好みます。

その際に、

私は患者さんの全体像を、

然り気無く、

診ているのです。

ご本人には自覚はないようです。

で、

私は奥方に電話したのです。

どうか私が手配しますから、

某私立医大附属病院へ受診させて下さい!

奥方が即座に反応されました。

ヤッパリ!

先生、私も感じてた。

主人が言うことを聞きません。

明日も明後日も協会のゴルフに行くと。

先生からも強く言って下さい!

こういう場合、

長い間の患者さんは、

私の【勘働き】を絶対に信用してくださいます。

ゴルフをキャンセルされ、

私の指定した大学病院へ向かわれました。

電車を乗り継いで、

もう少しと云う処にて、

異変がE氏を襲ったのです。

電車の中から奥方からの電話が入ります。

先生、主人が変です。

即座に大学病院の救急部へと連絡を入れ、

救急隊と連携を取り、

最寄りの駅の駅員さんも万全の受け入れ体勢を整えられる中、

電車から救急車に乗り換えられ、

医大附属病院にて、

緊急手術を受けられました。

脳内出血による広範囲のクモ膜下血腫があったようです。

宿に着いた頃、

奥方から手術成功の一報を頂きました。

昨日、再び、

奥方からお電話を頂きました。

何故、先生がこの病院にコダワッタのか、

全般、判りました。

パンフレットにあった建学の精神とおりの

治療体制と看護を受けています。

ありがとうございます。

日本歯科大学は学部の名称を、

歯学部から生命歯学部へと変換しました。

歯は身体と連動している。

歯だけを見て、

人と云う生命体を診えない歯科医師は作らない。

それが学長先生の強いお考えであるからです。

学部長は全身管理科の藤井教授です。

日本歯科大学は医者の眼を持つ歯科医師教育へと

舵をきりました。

超高齢社会を迎える中での、

歯科医師教育のためです。

私も、

その空気の中に身を置いています。

あぁ、一人の人生のお役にたてたことに、

母校の教育方針の意味を身をもって経験したのです。