骨との会話


無事に手術を終える事が出来ました。

スーパー難症例でした。

粘膜を開くと、

骨がビッシリとインプラントを包みこんでいました。

解剖学的に危ない症例でした。

骨にも【癖】があることを、

インプラントを植え込む前に

気づいていました。

3ヶ月前に手当てした骨は、

私を嘲笑うような表情をしていました。

その際に私は骨に頭を垂れて、

私の手当てを受け入れて欲しいと

お願いしました。

骨と会話する等と、

とうとう頭が狂ったと、

お感じになられるかもしれません。

宮大工の棟梁が、

森の木と会話するという話しを

聞いたことがありました。

私は判るように思います。

本当にありがとう、ありがとうと、

骨にお礼を云う私に二心はありません。

患者さんへも、

【越乃雪】も渡す事が出来ました。

小さな小さな和三盆の塊ですが、

同じ素材でも、

京の雅な味わいではなく、

越後の国ならではの【個性】に、

私は舌の上に暖かみを感じるのです。

内科医をする患者さんですが、

帰宅する車中にて、

甘い味わいに、

痛みと手術の恐怖から

解放して欲しいと願うのです。

次の患者さんも、

また骨と会話しようと

楽しみにしています。

歯のキチガイと言われても構いません。

私は同じ歯科医師からの評価のために

仕事をしている訳ではありません。

私の仕事は、

歯の番人に過ぎませんので。