偏屈同士


右肩の痛みが一向に回復せず、

それでも歯の治療は押し寄せる波のように。

患者さんの数を調整しながら10日ほど

苦しみながら過ごしていました。

整形外科、ペインクリニック、整体、マッサージ。

治療の合間や終わってから、

ありとあらゆる手段を講じたのですが、

良くなっては、仕事。

で、再び痛みという繰り返し。

案じて下さった患者さんのご紹介にて、

トアル治療院の門を叩いたのです。

「 偏屈な先生なので、お気を害するかもしれません。」

と、更に案じる患者さんに、

「 イヤイヤ痛くて、カチンとくる元気はありません。」

偏屈と偏屈がぶつかることを案じて居られるのが伝わり

思わず笑いそうになりました。

で、

成る程、成る程!

なかなかの偏屈親父じゃな!

色々説明して下さるのですが、

一瞬、私が説明など無用という空気を発したのを、

この偏屈先生は見逃さなかった。

「 説明しないでイインですか?」

私ですか?

「 全く無用です。信頼していますので、ご随時に」

私ら人の身体を治療する人間には判るんです。

相手の技量の程度が。

餅は餅屋という言葉があります。

素人がどんなに研究しても、

本物のプロには到底及ぶことはできません。

生板の上の鯉。

で、

専門家の指導通りの日常を過ごす。

素直な気持ちで、治療と向き合う。

そうでなければ病気など治りません。

自己主張していたら、

病気になった原因の解決にもなりません。

この偏屈先生、私に対して其処から

とても紳士的な態度に豹変したのです。

相手も偏屈、私も偏屈。

同じ匂いを感じたンだと思います。

帰る時に、痛みは消えていました。

相当に手を酷使しているので、

当分の間は、週に2日ほどは手当てを受けようと思っています。

東京の街は、

私はあまり好きになれません。

雑踏の中、

鞄を左手に、

人混みの中へと移動するのに、

今、ほんの一時休憩している処です。