歯の命


お盆が近づくと

物置から小さな包みを取りだし、

行灯を組み立てるのが、

幼い頃の私の仕事でした。

行灯に描かれた絵が火を灯した時に浮き上がる瞬間に

私はご先祖様が、

旅の支度に取りかかっているような気持ちになりました。

それは今も変わりません。

私は魂を信じます。

それは人の心を信じているからです。

縁があって歯科医になりました。

人の身体を診る仕事です。

が、

仕事を仕事として割りきることは

私には出来ません。

それは人には心があるからです。

ですから、

人の身体の一部分である【歯】には

魂があると、

私は信じています。