父と息子


私には息子がひとり居ります。

私からして観れば、

息子が成長する過程において生じる様々な出来事では、

最善策を選択していた気持ちになっていました。

その良否は、

私には論評できる立場ではありませんので、

控えさせて頂きますが、

周囲が、或いは息子本人が

【今どの様に感じる】と云うよりも、

先々に過去を振り返って父のアクションをどう考えるのかの方が

重要だと思っています。

それは将来、息子がどのような考え方の人間に育っているのかと云う

ひとつの指標だと、

興味を持っています。

彼は彼で、

父の行動に大きな非難を持っている部分も相当あるはずです。

それとは別に、

父の苦労や努力を誰よりも知る人間でしょうし。

私の恩師に山口隆司先生と云う歯科医がいらっしゃいます。

父親は日本歯科大学の教養過程の法学を担当された山口五郎教授でした。

私自身も先生の父君の講義を2年間受講させて頂きました。

山口隆司先生の父君は憲法学者でいらっしゃいました。

東北大学を卒業された後に、新潟大学へ講師として勤務され、

その後に日本歯科大学の新潟校の設立に際して教養過程の人材の確保に

随分と大きな情熱を注がれた事は、

当時の大学の教養過程の教授の陣容は礎の重みがありましたから

間違いない事実でしょう。

で、

海軍士官を彷彿させる、

本心は憲法学者ナンですから兵隊は嫌いなんでしょうが、

そういった匂いのある紳士であった事は間違いありません。

私はこの山口五郎と云う人は好きだったですね。

その御子息である隆司先生と、

現在多くの仕事をご一緒させて頂きながら、

学問はもとより、

様々な多くのことを学ばせて頂いています。

父君の五郎先生は、意外や家では暴君であったそうな。

で、

親子で専門の分野は大きく違います。

隆司先生は先生で、

この方にも独特の【ダンディズム】があります。

無難に生きてきた普遍の男には、

先生の【仕掛け】など、

先ずは見落とすでしょう。

私は最近、

私ら親子と、山口先生親子を対比しながら

興味深く、先生の話全般を聞いています。

で、

ヤハリ父息子の親子は親子であると確信したのです。

研究の焦点の当てかた、

研究の攻めかた、

分析方法の選択の手段、

コレは自然科学のみに触れた人間の技ではありません。

先生に私は、山口五郎先生の遺伝子を確りと感じるのです。