月日の流れ


大きな症例に1日追われています。

で、

その様な中、興味深いお電話が在りました。

「いんやねぇ~三枝君。40年頑張ったんだけど、

3月いっぱいで暖簾下ろすことししたんさ!」

電話の主は、

本調子の新潟弁まる出しの

【文京せきとり】のオバチャンでありました。

今でも、此処の鳥の唐揚げと塩皮の唐揚げを凌駕する店を知りません。

言いにくい話ですが、

お世辞にも綺麗と云える店ではありません。

が、越後人の情溢れる、

心地の良い店でした。

今の私に、三枝君と、

昔と変わらず付き合ってくれる

数少ない越後人のひとりでした。

私が次に新潟へ参りますのは

残念ながら4月です。

その時もう、

あの店から出でる匂いは無いのだ!と、

月日の流れを恨めしく想うのです。

生まれて初めて【納豆】を恐る恐る口にした

定食屋も今はありません。

常連であった喫茶も、とうの昔に無くなりました。

豚カツ【とんき】の厚眼鏡の親父さんも、

とっくに亡くなり、

女将が独りで奮闘されています。

当時は、お金が無かったので、

ヒレカツ定食は極マレでした。

細切れの肉と葱を交互に串に刺した定食で、

心豊かな気持ちになったモンです。

私の青春期に生きた新潟は、

川の流れと連峰の山々以外は

知らず知らずのうちに変わっています。

時代の流れを否定する気持ちはありません。

が、

変わってはならないモノにも、

今は気づいています。