歯周病に対する手術を取得したのは、
20代後半から30代前半の頃だったと記憶しています。
その時々の症例や、手術に際しての心情を
今でも鮮明に覚えています。
今になって振り返りますと、
手技も稚拙であったと思わざるを得ません。
また手術方法の選択も、適切であったとは云えないものも
正直申し上げると、在るように思います。
が、無我夢中に取り組んでいた事に偽りはありません。
今は歳もとり、
盛りある勢いある時代が終わったことを自覚しています。
が、不思議な事に、
治療成功の結果は、確かになったと実感しています。
衰える視力、気力、体力を
反比例して新たな別の感覚が産まれてきたことを実感しています。
これが職人仕事の結果だと思います。
今日は3症例ほどの手術が在ります。
手術の合間に自室に戻ると、
若手の先生からの着信履歴に気がつきました。
そう言えば、
今日はこの先生に手解きした手術を
初めて執刀される日であったと思いだし、
電話を直ぐにかけた私です。
電話口に、不満足な結果であったと落ち込んだ声音に、
これで確実に良い歯医者に育つであろう事を
逆に実感したのです。
何故なら、
私は経験者であるからです。
伸びる稲穂か、
伸び放題の雑草であるかの判断は、
私は出来ると自負しています。
これから、この先生に診察して貰う患者さんは、
誠に幸運な方々であると、
心温かな思いがします。
初めの一歩の大切さを、
端から眺めて、しみじみと感じるのです。