家に帰ると、天井近くの高い処まで壁紙が剥がれているのを
アチコチ見かけるようになりました。
情けない悲惨な情況に、
昔、飼っていたラブラドールリトリバーのラブリーが
当時の住まいの壁に大きな孔を開けて、
其処から喜んで大きな舌を出していたのを思いだしたりで。
上の娘も私も、この主は、
とても平蔵とは思えず、
何故なら平蔵が、
そこまで高くまで飛び上がる事など出来ないと思い込んでいたのです。
で、この悪さをするラッシーが嫌がるのを無理矢理に
マリリンと一緒に診療所へと出勤させるようになりました。
私が診療中は、2匹は大人しく私の椅子を囲んで眠っています。
これで我が家の被害も無くなったと安堵していたら、
私ら親子は大いなる勘違いに気づいたのです。
巨大な肉の塊のような平蔵が、
全身を伸びきらせて壁にもたれ掛かり、
日射しに反射した壁のスポット状の小さな輝き向かって
ジャーンプ!
で、ベキベキと音をたてて無惨にも剥げ落ちていく哀れな我が家。
娘と二人、呆然と立ち尽くし、
ラッシー、ごめんなさいと云うしかなかったのです。
平蔵ですか?
何事もなかったの如く、
悠然と床に臥せて、私らを見上げていたのです。