【本当に困った時に行く歯医者】


 歯科医師過剰の時代である。

 何処も患者獲得の為に躍起になっている。
その為であるのか、
ハタマタ、
当節流行りの
お、も、て、な、し
精神の行き過ぎで
患者さんの言いなりの
歯科業界である。

 治療には
避けては通れぬ関所がある。

 患者さんの気持ちは
判らなくはないが
いつか将来
絶対に喜んで貰うために
患者さんの今の意に反する
意見を敢えて言わせて頂く時がある。

 私の言葉に対して
耳を傾けて下さるか否かは
患者さん次第ではあるが。

 其れでも敢えて
言わせて頂くのが
専門職の責務である。

 が、当節
歯医者等は何処でも同じと
私に言わせれば
大いなる勘違いで来られ、
他所とあからさまに比較の目で
じぃーと
私を見られている方が居る。

 この様な場合には
大人気無い私である。

 身体中から
何時もであれば
沸き立つ情熱が
一向に
涌き出て来ない。

 又、平均的な治療を
望むので在れば、
過剰な検査をすれば安心と唱う歯科医師の基へ
通院すれば良いと思うのだが。

 検査をすれば
判るだけで、
出来るとは
違う事を
皆が認識すべきである。

 先日、テレビで
テント職人の名人の手による
テントに対して
物凄い機械が造り出す
猛風との
対決なる番組が在った。

 此の凄まじい風は
突っ走る新幹線のぞみの上に
テントを設置して
走る程であるとの解説に
皆がテント職人の顔を
半分慰めの眼で
其の対決の結果を
待っていた。

 人間の感性と技の
勝利であった。

 かほどに人の感性とは
素晴らしいものである。

 永年、自身の芸に
ひたむきに取り組んでいった
職人の勘の凄まじさを
歯科医師も
もう自覚せねばなるまい。

 私は平均点の治療はしない。
人間である以上、
常にベストで
仕事に取り組んで
日常を
過ごすを
信条とする私である。

 本当に困った時に
思い出して頂きたい。

 この様な方だけで
私は今まで
生きて来られたので
今更、
自分の流儀を変える気持ちは無いのである。