私の患者さんに対する考え方


 此のところの無理がたたったのか
疲労がピークに達し
久方ぶりに
診療が終った後に
マッサージ師を
自宅へと迎えて
二時間ほど
身体の手当てを受けた。

 何時も限界にまで我慢するからですよと
此れも何時もの台詞を耳に
時折、呻き声と叫び声を挙げながらも
身体の筋肉が弛緩していく様が
手に取る様に感じられる。

 私は仕事が終わると
人と接しない様に
心がけている。

 臨床家と云う仕事は
技術だけでは
成り立たない。

 生きた人間と云う
やっかいな生き物と
係わらねばならない定めを孕んでいる。

 時と場合に因っては
此が重荷となる。

 女郎と同じで
私共の仕事は
来るものを拒めないからである。

 昔の著名な臨床家の遺した
書き物には、
匂いの合わない患者さんには
積極的な治療を
推し進めてはならぬと
皆が一様に
書き残しているが、
私も同様の意見である。

 私は専門職であるから
無理してまでも
自身の信念を曲げてまで
患者さんの希望に沿う治療は出来ぬ。

 先の先を見越した
診断と治療計画が立案でき
正確な仕事が出来きる手指を鍛えるを
歯科医の責務と識るが、
金銭を払っているのだからとばかりに
素人の絵空事を
当然の如くに主張する人の
気儘に付き合える程、
私は不誠実な人には
成りたくない。

 私は大金持ちではないが
金の為と割りきって
自身の芸風を
曲げれる程の
浅ましい人には
成りたくない。

 私はブログで
本音を語っている。

 私とのウマが合わないと感じたならば
私の仕事の邪魔はせんで頂きたい。

 この様な私でも
私の手指を必要とされておられる方が
多い故に。