同業の先生方なり、歯科関係のメーカーの方が初めて私の診療所を訪れた時に
必ずや驚かれることが決まってある其のひとつが、
ー 先生と歯科衛生士の方の二人だけで、この広さの診療所を運営しているんですか! ー
面積から云えば、標準レベルで歯科用診察椅子は15台は設置できる処に、
私は診察室に一台と、手術室に一台の診察椅子しかありません。
私の満足できる診療所を創ろう!
歯科のユートピア創りを夢みて過ごしてきました。
道は未だに半ばですが。
広さ面積は別として、私の診療所は、ごくごく小規模の歯科診療所です。
目が行き届くために、私はスタッフの数を増やしてはいません。
歯科アシスタントなり歯科衛生士は女性でありますから、
私は彼女たちに口酸っぱくアル台詞を繰り返すのです。
【ナイチンゲールの心で患者さんに接しなさい!】
大勢のスタッフにたいして、技術を指導することは難しいことではありません。
患者さんへの気遣い、心遣いなり、仕事に対する向き合い方などを
スタッフに気づいて貰うことの方が、ズットズット大変な作業です。
とてもじゃありませんが、私は自分自身も未だに修行中の身であります。
大勢のスタッフなど、とてもじゃありませんが、自信がありません。
ですから、今のスタッフに対しても、特に何かを教えるということもありません。
スタッフの人格を尊重し、彼女もいい大人ですから。
そしてソモソモ私が歯科衛生士になって下さいとお願いした訳でもなく、
自分でこの道を志したのでありますから、
特に有資格者は、モチベーションは自分で上げる努力をしなければならないと云う考え方の私ですから。
そういう訳で、大勢の患者さんで溢れかえって商売繁盛も良いですが、
私は自分ペースで職人仕事にコツコツとという方が性に合っています。
日本各地には、それはそれは多くの隠れた名店があります。
これ等の店を訪れて必ず共通しているのは、
店主の目が行き届く範囲の仕事をしていることです。
で、どの店においても、ある程度年季のいった年齢にならないと、やはり良い仕事は出来ないんだなってこと。
そういう職人の姿は、時に厳しく、時に優しく、誠に瞼に美しさが映えます。
自分の姿を省みて、日々精進なりと、再び俯いて歯へと全身を浸かり込むのです。