手間隙かけて


この頃の高松市は昼はウットオシイ程に蒸し暑く、

で、明け方は肌寒いと云った1日での気温の差が大きく、

なんだか気だるく重苦しい毎日が続いています。

こんな時こそ鰻でしょう。

カンカンに照ったなかの汗をかきながらの鰻も良いですが、

こうも気だるい時こそ鰻だと思います。

せっかちの癇癪モノの私ですが、

鰻だけは速い処はイケません!

お客の顔を観てから捌くくらいの店でないと。

そりゃ、時間はかかるでしょ!

そのくらいの覚悟がなければ、旨い鰻なんか御目にかかれません。

私らの前に、テカテカとした鰻重がスーと置かれる迄には、

それはそれは手の込んだ下仕事がありますから。

歯科の治療においても同じことです。

速いのが名医の証し!と、信じて居られるお方でいらっしゃったら、

私なんぞは、天下一のヤブ医者でしょう。

自分のなしたる手当ての結果を見極めてから先の手順に進んでいく方法をとる私の治療は、

頻繁には来て頂きませんが、経過の良否により再評価を加えながら進めて行きます。

その日の天候の塩梅によって、料理人が塩加減を変えるとの同じです。

人から観れば同じようなことの繰り返しの毎日ですが

患者さんの状態、状況によって手当ての加減を変えるのが

私は当然の仕事だと思います。