治療の重さ


診療方法を決める作業は、私にとっては心身ともに大きな疲労を伴います。

インプラントの場合には尚更です。

将来を見据えた治療をと、口にするのは簡単ですが、

いったいどれ程の数の歯科医が、自分の症例の四半世紀を経験したのでしょうか?

人は必ず、歳を老います。

寝たきりの不自由な身体になられた患者さんも、長い臨床生活では経験しました。
脳疾患にて、麻痺のでた患者さんも大勢居られます。
絶えず震えて、上下の歯が噛み合わない状態になった時に、
インプラントに対して直接的な圧力が架からなくなった時に骨は萎縮して、
インプラントと骨の結合は破壊します。

そのようなもしもの時をも考慮した設計を、インプラント治療には考えておかねばなりません。

レントゲン、噛み合わせ模型、口の中の状態を撮った写真等を
机の上にズラリと並べて、仕事の合間、仕事が終わってから、
兎に角、治療方法が私の頭の中に綺麗にイメージ出来るまで、
それこそ帰宅してからも、トイレに入っても、床に就いても、
アレヤコレヤと、
頭のど真ん中に‥‥。

最近では、予め数パターンの治療方法をプログラムに組み込んだソフトウェアがあるようです。
また、歯科医ではない治療カウンセラーだか治療コンシェルジュと、上手いこと云うもんです!
そういったお嬢さん方に、患者さんに対する治療方法の説明をさせるのだそうです。

アホか!と、私は思って観ています。

治療とは、患者さんにとっては大変な想いで受けるものです。
治療を直接する歯科医自らしないでどうするものぞ!と考えています。

治療する歯科医も、患者さんを背負う覚悟でと、私は思っています。