妙に、
瀬戸内の光景が・観たくなりました。
で、
高松港を見下ろせるホテルに部屋をとり、
大きな窓ガラスの向こう側に広がる
日暮れ時の・瀬戸内海を、
随分と・長い間、
観ていました。
過去を振り返るな!
前を向いて生きろ!
そのような意見を・何度となく、
アドバイスを受けた機会が・ありました。
ときどき、
過去を振り返る事こそ、
私は大切だと・思っています。
過去を・取り戻す事は・できません。
ソレでも、
過去を振り返る事から、
大きな収穫を得られると・
私は知っています。
瀬戸の凪に、
私の半生を・重ねていました。
後悔・半生・過ち・
ばかり・だったと・思いますよ。
でも、
その結果、
今・此処に生きているのです。
今日、
大きな治療が・在ります。
私より7歳・年少の女性の歯を、
全て抜歯・しなければ・なりません。
歯科医師として、
歯科保存学を専攻した者として、
こんな悲しい・治療は・ありません。
歯科治療という名のもとで・行われた修復治療や・根管治療の、
結果が、
全て抜歯という・酷い終着駅。
初診から、
考えて・考えて、
眼を皿のようにして、
保存の可能性を探った事は、
言うまでも・ありません。
患者さんの顔貌は・歪んでいます。
噛み合わせからの・歪みです。
患者さんに・お願いしたのです。
若い頃からの・アルバムを見せて下さい・と。
抜歯のあと、
本格的な・私の修復治療が・始まります。
本来の痕跡を・探すために、
何時の・どの時期に、
口腔が崩壊したのか?
糸を辿ることが、
これからの治療成功の・鍵になるからです。
アルバムの中に、
一人の女性の半生を・視ました。
この方の・残りの・半世紀を、
歯科医師として、
お役にたちたいと・思います。
武者震いしながら、
瀬戸内海を観たくなったのです。