月別アーカイブ: 2016年10月

虫歯の治療

ダイレクトボンディング修復を代表とする【接着修復】は、

それほど新しい治療方法ではありません。

ただ現状もドンドン進歩しています。

接着修復は、単なる修復手法でしかなく、

虫歯菌に対する攻撃的な治療ではありません。

菌を殺菌するという概念は、接着修復とは別のジャンルに入ります。

確かに、虫歯菌を殺菌するという考えに至るのは解るのですが、

ある菌種に対して、それを力でもって制圧しようとすると

必ず耐性菌が出現してきます。

歯周病治療の分野において、

非常に強い殺菌力を持った消毒薬で、

菌を叩くという手法が紹介されました。

浅学の徒は、直ぐに飛びついて、

患者さんに対して【特殊な治療】という触れ込みと、

ここでは控えますが、

耳障りの良いキャッチコピーで喜び飛びついたのは

記憶に新しい現象でした。

口腔の中には多くの細菌が生息しています。

これを無菌化することは愚かな行為です。

役にたつ細菌も多いからです。

人体という生命体は、

多くの細菌と共存しています。

劇薬をもって制圧すれば、

役にたつ細菌まで死んでしまうのです。

則ち、

抵抗力のない身体になってしまいます。

歯に話しを戻しましょう。

歯の象牙質は、硬くはないのです。

私らのような、歯科保存学を専門とする人間からすれば、

歯象牙質は、コラーゲンの集合体なのです。

コラーゲンほど、傷みやすい組織はありません。

できるだけマイルドな手当てをと、

知恵を搾っています。

リン酸溶液や次亜塩素酸などでの殺菌など、

コラーゲン繊維を損傷させるだけで、

保存学の王道から外れています。

現状、虫歯菌に対する治療方法としては、

私らの研究グループが進んでいるようです。

そう遠くない日に、ご紹介できると思います。

 

奥歯のダイレクトボンディング修復

明日から所要にて3日ほど留守にします。

来週の火曜日から診療を再開します。

休日にはブログをアップしないので、

その分のを今日、

患者さんの合間で書き足しています。

奥歯のダイレクトボンディング修復の手順です。

術前です。

広瀬和代殿20160726001

金属の詰めモノにひび割れが起きて、

虫歯が拡がっています。

ラバーダム防湿を施して、

広瀬和代殿20160726003

綺麗に取り除いた虫歯のない綺麗な歯面を

唾液から守り、

キッチリと消毒して無菌的環境下で、

ダイレクトボンディングの手当てを進めてゆきます。

で、

完成。

広瀬和代殿20160803001

セメントでくっ付ける訳ではありませんから、

歯と人工素材の間に、隙間は全くありません。

コレがこの手法の最大のメリットです。

コンポジットレジン修復とダイレクトボンディング修復

時代ですね。

今では奥歯の詰めモノでも、

患者さんは金属色を嫌がるのが当たり前となりました。

私個人としては、

ゴールドの詰めモノが1番信用できるのですが。

私の意志とは反し、

この患者さんもダイレクトボンディング修復を希望されて

私の診療所へお越しになられました。

当初は、

他の歯科医院にてダイレクトボンディング修復モドキの処置を

お受けになられたようです。

濱田純子殿20160826001

で、

直ぐにガリガリ、グチャッと!

アラー!

歯の中で砕けていますね。

はい、これでどうでしょう?

濱田純子殿20160909003

噛み心地よさが全然違います!と、

ビックリされておられました。

コンポジットレジン修復あってのダイレクトボンディング修復だと、

私は思っています。

どう違うんでしょう?

歯科医と歯医者の違いみたいなモノでしょうか?

 

恐い先生

私の臨床のスライドなり、

チョッとした治療に関する話題の中での私見に対して、

痛い処を的確に突いてくる【判ってる歯科医】の一人に、

日本歯科大学 保存学第2講座 前准教授である山口隆司先生が

その代表格と言えると思います。

理論的な処は勿論の事ながら、

行間もキチンと、

この先生は気づいているから恐い!恐い!

ある時、

何故?視えるのだろう?と、

真面目に考えながら、

先生との雑談の興じていました。

で、

私の出した結論。

この先生は、

若い時分から全てのジャンルにおいて

大きな無駄を経験されておられるということ。

則ち、

好奇心の塊からなる探求心から

色んなモノを観て、

実際に体験して、

肌で感じた過去からの積み重ねが

人の厚みを増したのでしょう。

実体験に乏しい人からしてみれば、

この先生の眼力と判断の勘所は

到底、理解は及ばないでしょう。

他人の言うことを聞かない私ですが、

少なくても、

内藤正裕先生、

山口隆司先生、

藤井一維先生、

の、

この御三方は

恐い先生であることに間違いありません。

総入れ歯

83歳の女性の患者さんです。

12年ほど前に、

私が製作した総入れ歯です。

定期検査には必ずキチンと来院されます。

DSC_0152

青色の印記は、

歯科医や歯科技工士が診れば、

恐らく評価して下さると思います。

下の入れ歯との、

噛み合わせの接触点です。

この接触点の付け方に、

歯科医それぞれの考え方や技量が顕れています。

私の総入れ歯が

【なぜ良く噛めるのか】

【どうしてピタリと吸着するのか】

この接触点に、

そのアイデアが仕込まれています。

インプラントも優れた治療ですが、

身体にリスクの全く無い【総入れ歯】を

もっと大切に考えて欲しいと、

若い歯科医の先生方に望むのです。

【総入れ歯にしたら骨が溶ける】というのは大きな嘘です。

それは私の臨床が証明しています。

人工歯の磨り減りも、

高齢者は噛み合わせの力が弱いからでしょうか?

出来上がった時から、

ほら、

そんなに変わってはおりません。

総入れ歯の製作を

全て歯科技工士に委ねてはなりません。

私らは、歯科医です。

歯の番人であることを

忘れてはなりません。

ホッと一息

いやー、無事に終了しました!

何千本とインプラントを入れてきましたが、

今日の手術は、

予定した時から覚悟していました。

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ですから、

手術に際しての準備には余念がなかったのですが。

緊張していました。

本音ですよ。

どのような手術であっても、

手術前には、

武者震いするくらいに緊張します。

それがメスを持つ者の責任感だと思います。

私は名医でも、

有名な歯科医でもありません。

市井の一開業医でしかありません。

初心者の心を忘れたことはありません。

私は開業歯科医に成りたかったのですから。

患者さんに寄り添っていたいと、

常々そう思っていました。

慎重に、

謙虚に、

再度の確認に、

その繰り返しの毎日です。

今日はゆっくりと眠れます。

レントゲンは語る

この頃は、

先生方からの治療方法に関する相談を頻繁に受けます。

このレントゲン所見も、そうです。

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ブリッジの土台部分となった前側の歯は、

根に亀裂があります。

亀裂が写ってルンですか?

いいえ。

でも必ず、亀裂があります。

レントゲンが、そう語っています。

では抜歯ですか?

いいえ。

マイクロスコープを使って、

丁寧に丁寧に手当てをすれば、

残ります。

根管治療の際には、

必ず不安を感じる筈です。

内部が溶けているンじゃないか?と、

そのくらい一部分の歯の内部の壁が

軟らかくなっている筈です。

内部吸収かも?と。

大丈夫です。

歯の声に耳を清ませてください。

ただし、

歯の声は実際には耳ではなく、

私らの【眼】で聞くんです。

信じて、

私の言った方法と材料で治療を進めてください。

歯を簡単に抜いてはなりません。

と、お伝えしておきました。

無痛治療

朝の10時から開始した根管治療が終わった処です。

今の時刻は12時を少し回った処です。

根管治療は通常、

何回も通院してもらいがちな治療だと思われていますが、

マイクロスコープを使うと1回で終わります。

少なくとも私は、1回で根管治療は終わらせています。

歯の内部の全てが見えるので、

根管治療にマイクロスコープは欠かせない道具となりました。

患者さんも、さぞかしお疲れの事でしょうと、

思いきや、

シロナ社のチェアーは患者さんの身体の負担は軽いようです。

ラバーダム防湿を施しているのも、

逆に楽な様ですよ。

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根の先の骨が大きく溶けている症例でした。

大拡大視野での治療ですから、

触る手加減が自由自在です。

余計な処を触りません。

だから痛くない治療が可能です。

緊張感

今日の午後に難しい手術を予定しています。

準備に2ヶ月ほど充てました。

私にしては珍しくCT画像を3D化した上で、

CADCAMマシーンにて患者さんの顎の形態を精密に再現し、

インプラントを埋め込む位置、深さ、方向の全ての要因を

外科用ドリリングマウスピースを製作し

手術に臨みます。

緊張感いっぱいです。

ですから朝の治療は、

無心の境地になれるコレまた難症例の根管治療の治療を入れました。

マイクロスコープ越しの大拡大視野に

手先に全神経を集中させて、

午前いっぱいを過ごそうと思っています。

難症例に望む時、

眼前に立ちはだかる大きな岩山を仰ぐ心境です。

絶壁に指を杭い込ませて這い上がる緊張感、

山頂に達した時の達成感。

コレがナンとも云えない心地よさにシビレル快感が

忘れられなくて、

止められないのだと思います。

私がチャレンジしなければ、

確実に歯がダメになるという確信も、

私の背中を押す大きな理由です。

臨床医とは、

一種の狂気の沙汰と背中合わせだと。

さぁ、頑張ろう!

ナンのこっちゃ?

メタルボンドによるセラミック修復とだけ聞けば、

良い治療をお受けになられたと思うのが普通です。

が、

コレが大きな間違いであることに

もう気がつかなければなりません。

今日お越しになられた患者さんにお願いしました。

「次回セットされるというソノ被せものを外させて下さい。」

今は仮にセメントで着けておられるクラウンを外させて頂き、

レントゲンでは鮮明に見えない部分、

実際のドキュメントが診断に必要だったからです。

うーん?

最近、私は訳が解りません。

歯科医が歯茎を壊しているとしか思えない所見です。

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取り敢えず1週間ほどは、

メタルボンドクラウンを外しておきましょうと提案しました。

確実に歯茎の炎症は治まる筈です。

使う材料が高価であることと、

治療成功とは全く相関関係はありません。

優れた形態のクラウンはモノクロ写真で観ても

その姿には一種の品格があります。

一番奥の歯は、殆んど骨がありません。

第1大臼歯部分は、

まだ間に合いそうです。

マイクロスコープでの歯のレスキュー隊の出動です。

歯科医が作った歯周病についてはジワジワと攻めて叩く積もりです。

で、

この可哀想な歯が私に、

どう問いかけて来るのか?

を、ジックリと待ちたいと思っています。

この症例は診たくないジャンルに入ります。

唾液の性状も気になるし。

うーん?

また一つ悩みが増えました。