虫歯の治療


ダイレクトボンディング修復を代表とする【接着修復】は、

それほど新しい治療方法ではありません。

ただ現状もドンドン進歩しています。

接着修復は、単なる修復手法でしかなく、

虫歯菌に対する攻撃的な治療ではありません。

菌を殺菌するという概念は、接着修復とは別のジャンルに入ります。

確かに、虫歯菌を殺菌するという考えに至るのは解るのですが、

ある菌種に対して、それを力でもって制圧しようとすると

必ず耐性菌が出現してきます。

歯周病治療の分野において、

非常に強い殺菌力を持った消毒薬で、

菌を叩くという手法が紹介されました。

浅学の徒は、直ぐに飛びついて、

患者さんに対して【特殊な治療】という触れ込みと、

ここでは控えますが、

耳障りの良いキャッチコピーで喜び飛びついたのは

記憶に新しい現象でした。

口腔の中には多くの細菌が生息しています。

これを無菌化することは愚かな行為です。

役にたつ細菌も多いからです。

人体という生命体は、

多くの細菌と共存しています。

劇薬をもって制圧すれば、

役にたつ細菌まで死んでしまうのです。

則ち、

抵抗力のない身体になってしまいます。

歯に話しを戻しましょう。

歯の象牙質は、硬くはないのです。

私らのような、歯科保存学を専門とする人間からすれば、

歯象牙質は、コラーゲンの集合体なのです。

コラーゲンほど、傷みやすい組織はありません。

できるだけマイルドな手当てをと、

知恵を搾っています。

リン酸溶液や次亜塩素酸などでの殺菌など、

コラーゲン繊維を損傷させるだけで、

保存学の王道から外れています。

現状、虫歯菌に対する治療方法としては、

私らの研究グループが進んでいるようです。

そう遠くない日に、ご紹介できると思います。