ー 先生は私にインプラントを薦めないのですか? ー
昨日、患者さんから唐突に問われました。
この50代の女性は奥の歯を二本失っておられました。
血液検査からも異常は無く、別段、インプラント治療の禁忌の患者さんでは無かったのですが。
丁寧にブリッジを造れば、十分に永く快適に暮らせると私は判断したのです。
治療と云うものは、何かしら身体を犠牲にして成り立つものです。
インプラントは骨を削って、ブリッジは歯を削って成り立つ治療です。
歯を傷つけるか、骨を傷つけるかの判断を迫られた時に歯科医師は冷静に判断しなければなりません。
究極の方法を選択したならば、将来に予期しない事象が生じた時に対応が出来なくなります。
インプラント治療と云うのは最後の最後の砦であると私は思っています。
とは言え、私は毎日、インプラント治療に携わっていますが、殆どの患者さんは
先の治療が丁寧であったならば、
インプラント治療など、しなくても良かった症例ばかりです。
普遍的な日常の治療を慎重に丁寧にすることが、一番の信頼を得る方法と感じます。
日頃の丁寧なブラッシングを続けることも同じです。
そして、何よりの口腔の健康維持に大切なのは、医師と患者さん相互の信頼関係の構築だと信じています。