歯を失った患者さんに対して、ほとんどの場合に私はインプラント治療を行っていますが、
血液検査にてインプラント治療の成績が思わしくないと予想できる患者さんに対しては
そのむねを患者さんにお話しして入れ歯の治療を行います。
総入れ歯を永年お使いになられてはいらっしゃるのだけれども、痛い!はずれる!噛めない!と
お悩みの方も大勢お越しになられます。
その様な方は、はなから入れ歯等は信用していないと云う風で、兎も角インプラントを!と望んで来られます。
何れにしても合わない入れ歯には、合わない理由があります。
その様な入れ歯は、駄目な原因が多く、当然噛み合わせもその内のひとつです。
歯が無い処にインプラントを入れるには、歯が無いのだから何の制限も無くインプラントを入れる事は出来ますが、
それでは後から歯の位置とインプラントの位置との不一致が起こり、力学的、審美的、発音の関係から上手くはいきません。
噛み合わせをキチンと治してからでないと良質の治療とは言えません。
ですから、患者さんの側がインプラントを希望していても、キチンとした噛み合わせを創るために、
先ずは仮の入れ歯を造って、正しい顎の位置を探していきます。
この時に前歯の位置や形を、唇や顔つきから決定したり、奥歯は呂律の回り具合や舌の動き等から決めていきます。
様々な手順を経て、仮の入れ歯が完成して、いよいよ患者さんに手渡す訳ですが、
興味深いのは、私の患者さんの殆どがこの翌回にお越しになられた時に
ー 先生、総入れ歯でもぜんぜん噛めます!痛くないし、外れないし!インプラントは辞めます。
これは仮の入れ歯ですよね!本入れ歯はもっと良いですか? ー
皆さんが同じことをおっしゃられるので、仮の入れ歯を造る際の患者さんが不満そうに私の顔を見つめる気配を
察していますが、気にしておりません。
ー 本ちゃんの入れ歯が出来たら、もっと綺麗なお顔つきになられますよ! ー
無論、私の造った入れ歯は補修、修理が可能です。
皆さん、相等長い期間を同じ入れ歯をお使いになられています。
顎の骨が痩せて、入れ歯が合わなくなると云う事はありません。
入れ歯にまつわる嘘、良い入れ歯を造れない言い訳のひとつが
入れ歯をいれても骨が痩せて合わなくから不経済!
だからインプラントはいかがですか?
何時から歯医者が入れ歯の悪口を言うようになったのか!
珠を慈しむ様に、ガラスを労る様に、口を触ると云う事はこういうものです。
私は入れ歯治療は、立派な治療行為であると断言します。