私の診療所には医師やそのご家族の方が患者さんとして多くお越しになられています。
何度か通われて、私に話しやすくなった処で、
皆さんが一様に同じ台詞を口にされます。
― どうも歯医者は不潔だと思っていたので、行くのが遅れて、こんな状態になってしまいました ー
医者の不養生、紺屋の白袴という言葉がありますが、
正直申し上げて、業界人の口腔の状態は、決して良いとは言えません。
医師はは毎日の患者さんの診療に追われて、自身が受診を受ける暇が無いのだろうと
私なりには善きに思っておりましたが、
実際には、医師が歯科の感染防止対策に不信感をお持ちになられていた様です。
相手が医師ですから、私の診療所の至る処を隈無く、然り気無くチェックしている事に
当然、私も気付いています。
でも、特に相手が医師だからといって、特別な配慮をする事はありません。
私は51歳です。
私が二十代半ばの時にAIDSが世間を騒がせました。
それ以前には誰もAIDS等を知る由も無かったのですが。
C型肝炎のウィルス感染者がどれ程多いのか知ったら、皆さんは唖然とすることでしょう。
未々、知られてはいない未知の感染症が今後、発見されるかもしれません。
歯科は唾液と血液に頻繁に接します。
毎日、歯を削ります。
削った歯の飛沫は血液と唾液と同じです。
私の診療所へと、せっかくお越しになって頂いたのですから
私は何が何でも院内感染を起こす事が無いよう万全の対策を講じています。
そうする事は治療以前の、私自身のプライドがその様にさせるのです。