カテゴリー別アーカイブ: ただの日記

奥歯のインプラント修復

朝一番の患者さんはインプラントの修復治療でした。

アバットメントと云う部品をインプラントに連結します。

個々の患者さんの歯肉状態に合わせて

歯科技工士に製作して頂きます。

アバットメントはシリンダーとスクリューの2つの部品から構成されます。

このアバットメントによって、

インプラントは初めて口腔に顔を出します。

このアバットメントを土台にクラウンが被せられます。

模型上では、

ご覧の通りです。

このアバットメントに今日は仮歯を被せて終了。

今日からインプラントに噛む力で

加重を加えてゆきます。

当初は軽めに。

で、

仮歯を調整しながら、

インプラントに対して、

徐々に、

負荷を増やしてゆきます。

その事で、

インプラント周囲の骨は一層硬く成長するのです。

伝統的修復方法

神経を採った歯の修復方法は

基本的に被せるクラウン修復を選択します。

歯を被うことで、

歯が折れるのを防止するためです。

最後方の歯の修復においては、

患者さんにご理解して頂き、

できるだけ金属にてクラウンを製作する事を

私は好んでいます。

顎の骨は大きくタワミます。

口を開けた際と噛み込んだ際には、

大きく左右幅が変わるほどタワミます。

眠っている時の歯ぎしり時の大きな負荷は

私らの常識を遥かに越えています。

金属だと、

磨り減ったり、

延びたり、

私らの誤差を補償してくれます。

セラミックは硬過ぎて、

歯が傷みます。

また、

欠けるかもしれません。

そういう訳で、

私は金属の修復を好みます。

この患者さんの治療においても、

私のルールに乗っ取って修復を行っています。

写真の奥歯3本には仮歯を被せています。

奥から4本目の歯は生きていますから、

ダイレクトボンディング修復で治療しています。

最後方の歯の修復は金属のクラウンにて。

手前の2本の修復はメタルボンドクラウンにて。

オールセラミック修復は、

奥歯の修復には、

ほぼ選択しません。

大きな負荷の掛かる奥歯には、

セラミックの裏地に圧力に強い金属で

補強するべきと考えています。

コレが、

メタルボンドクラウンの下地の金属フレームです。

後方はメタルクラウンです。

削った極を鮮明にするために、

模型を分割し、

可撤式にして、

ピタリと金属を適合させています。

私と歯科技工士との間でのコミュニケーションのために、

この症例の場合には、

金属クラウンの形態の修正箇所を

実際のクラウンに記録して、

再び、

修復物を口腔に適合させて、

噛み合わせを再記録。

で、

全体の歯型を採り直します。

コレがとても大切なステップです。

修復治療の誤差を補償しながら、

治療は進みます。

次回には、

金属フレームの上に、

セラミックが盛り上げられて、

歯科技工士から私の手元に模型が届きます。

次回のアポイントメントは、

噛み合わせと色調のチェックです。

歯の型を採って、

次には完成と云う単純な作業は危険です。

丁寧に丁寧に、

精密治療は進められます。

 

生き方

朝、

スタッフの宮田君から問われました。

先生は何故に、

そんなに仕事されるんですか?

ほぉー!

キチンと観てくれてるんですね。

で、

答えたのです。

また訳の解らない事を始めよって!

と、

思っていても、

後になってから、

あぁ!そういう事だったのか!

と云う信頼感を持ってくれてるだろ?

私らに必要なのは、

先々を観て、

トップランナーで在り続けること。

私と一緒に仕事していたら、

絶対に大丈夫って云う信頼感を

スタッフや、

一緒に仕事する仲間みんなに

持って貰えるように。

其れが私らの仕事なんだと。

ただ、

開業歯科医師だから毎日を診療だけで過ごすって云うのは

私は人生の浪費だと思っています。

後から続く人たちへの

灯火で在ろうと。

周囲に流されて無難に生きるって事は

私には出来ませんね。

診療での目標、

研究での目標、

経営的な目標、

それぞれにおいて、

キチンと夢を抱いて、

そういう事の積み重ねが大切だと思いますね。

 

まぁ幸せなのでしょう

週末をゆっくりと過ごそうと云うのは

甘かった!

平日ではアポイントメントを採れない

メーカーの方等との

面談と会合にて、

また、

その上での資料に眼を通す等に追われて

眠る時間も儘ならない始末。

開業歯科医ですが、

診療以外の研究や教育の業務も増えて、

友人たちを恨めしく想いながら、

これも、

自分自身で望んだ道ですから、

まぁ幸せなのでしょう。

明日から手術ラッシュであるような。

今日は無理してでも、

眠ろうと、

そんな週明けを迎えたのでした。

 

 

ホッとした週末

メスを手にして、

四半期が経過したのですが、

特に高齢者の方への手術は、

未だに、

大きな負荷がかかります。

それは、

手術の技術的な問題ではなく、

身体に侵襲を少なくして差し上げたいとの

配慮から、

例えば麻酔薬の量を控えて、

それでも痛みも無いように、

そんな気遣いが大切です。

79歳の女性の手術が終わりました。

麻酔薬の量は虫歯の治療と同じ程度で済みました。

ただし、

麻酔薬が効くまでゆっくりと待ち、

手術時間の大半は、

麻酔をしては待ち、

で、

再び麻酔しては待ち

の、繰り返し。

手術後は直ぐに鎮痛剤を服用して頂き、

お迎えの方が来られるまで、

ゆっくりと待合室にてお待ち頂き。

どうやら痛みもなく、

ホッとされて居られる様でした。

私も肩の荷が降り、

ホッと。

夜、

マッサージの予約を入れました。

年から言えばベテランの域に入っているのでしょうが、

本当はこんなモンですから。

母校の絆

診療所の郵便受けが

イッパイになっているのに

気づき、

で、

内容を確認し、

思わず直ぐに、

書籍の頁を捲り、

外に居るのも忘れ、

見いってしまったのです。

先刻、

大学の補綴科に所要が在り、

電話を入れた際に、

偶然に電話に出られたのが、

補綴学講座の小出 馨教授だった事から、

長話に興じたのです。

その際に、

総入れ歯の話しに華が咲き、

小出 馨教授の最近の著作を

送って下さるとの事。

こんな速くに

送って下さるとは思わず、

しかし、

よく出来た著作であることに、

あぁ!母校は大丈夫だと

安堵したのです。

日本歯科大学の絆の強さが、

他校の卒業生には理解できない程に強いのは、

類い稀なる100年以上続く【私塾】であることが

大きく影響していると思います。

小出 馨教授は補綴学、

私は保存学。

専門の違いこそ在れども、

小出 馨教授の著作から診る診療姿勢から、

顎の骨の吸収を抑える

保存的配慮を大きく感じたのです。

総入れ歯を勉強される歯科医師にとって、

非常に有意義な書籍であると

自信をもってお薦めします。

この送って頂いた書籍、

今年中には、

頁がボロボロになるまで、

読み返し、

著者である小出 馨教授も驚く顔を

想像しています。

 

 

 

手術前

昨日は早々に、

後片付けは宮田君にお願いして、

帰宅させて貰いました。

今日の手術に備えて、

ゆっくりと休養させて貰らうためです。

超高齢者の患者さんの手術です。

全身状態に

全神経を集中させて、

安全運転しなければなりません。

循環器に最小限の侵襲での手術を行う積もりです。

手術と言うことで、

只でさへ緊張している患者さんです。

安心して、

治療を受けて頂く。

私自身が一番の安定剤であるために、

ゆっくりと休養させて頂きました。

 

 

 

苦笑い

歯科衛生士の宮田君も

手慣れたモノです。

執刀する私は

麻酔とメスに集中するだけで

楽させて貰っています。

手術前の、

口腔内を清潔にする手当てから、

術後のケアに至るまで、

宮田君が手慣れた順序にて、

片付けてくれます。

先ほどのインプラントの埋入手術でも、

私の出番は30分も無かったろうと思います。

勤務してから6年経過した

この歯科衛生士は、

私の診療所を熟知したる業界人からは

一目置かれているそうな。

細かく、

何かにつけて煩い、

変人歯科医師の仕事上のキャディを務めれる事に

皆が感心しているそうな。

明日も難しい手術が在ります。

1症例を終わらせた瞬間から、

頭の中は、

瞬時に、

次の症例へと切り替える私には、

こういう話しに、

ただただ苦笑いするだけです。

 

若者へのメッセージ

今朝、

興味深いメールが、

私の診療所のホームページでの

問い合わせフォームから入っていました。

ウチの学生さんからです。

歯学部の学生は、

世間からの想像を絶するくらいに、

勉強しています。

ただ、

これは最近の歯学部の学生に限ってですが。

私の時代は、

歯学部に入学することで、

歯科医師免許証を頂けると言っても良いくらいに、

楽な環境でした。

ですから、

遊び呆けていました。

が、

今の時代は、

歯科医師飽和状態にて、

歯科医師数削減が緊急課題ですから、

国家試験は、

選抜試験の様相です。

そのような背景にも関わらず、

歯学部を志願した学生を

私は応援しています。

先生は挫けそうになったことはありませんか?

挫けそうになった時には、どうされていますか?

そのような問でした。

医師であり続けることは、

医師になるよりも難しいと、

この頃ヒシヒシと実感しています。

私が過剰なくらいに

読書するのは、

自分の経験値を越えての、

悩みへの解答を探しているからだと思います。

自分の仕事に対して、

真摯に向き合えば向き合うほど、

他事に割く時間とエネルギーはありません。

何をしていても、

全てを

歯の仕事に結びつけています。

古い車の修繕にしても、

エンジニア的な感性を養うために他なりません。

【縁】と云うモノを

大切に思っています。

歯の仕事に就いたのも【縁】。

新しい患者さんがお越しになるのも【縁】。

運命的とも言える【縁】を大切に、

そうに想えば、

挫ける一歩手前の処で、

踏ん張って、

踏ん張って、

これはもう、

やせ我慢の域に達していると思います。

自分の身体と心に、

自分自身で鞭を打つ。

職人の性かもしれません。

が、

鞭を打つことで、

自身が鍛え上げられるのも事実です。

そのためには、

先々の自分の有り様を

イメージしながら、

夢を持つことが必要です。

願えば叶う。

夢を抱く情熱が

全ての原動力となるでしょう。

青春坂と云う言葉が好きです。

若者は、

青春坂を駆け走って欲しいです。

私は既に55を迎えていますが、

未だに、

青春坂を、

一歩一歩、

歯を喰いしばって、

徒歩で登っています。

頑張れ若者よ!

其れが先人からの

熱いメッセージです。

部分入れ歯への挑戦

あっという間に

夏が終わりました。

今年も最終シーズンに入りました。

歯科医師過剰にて、

酷しい歯科業界であるにも関わらず、

私の診療所は、

大勢の新しい患者さんに恵まれています。

私の歯科治療は、

【考える歯科治療】をモットウにしています。

手先が器用であるのは当たり前。

ですから、

まだまだ勉強しなければなりません。

噛む力は強大です。

歯科治療は、

この凄まじい力のコントロールへの計算に尽きると思います。

来年の課題は、

部分入れ歯に焦点を当てようと思っています。

歯科治療で一番難しいジャンルは

間違いなく、

部分入れ歯だと思います。

現在まで蓄えてきたノウハウで以て、

やっと、

部分入れ歯に挑む気持ちになりました。

超高齢者の治療においては、

外科的侵襲を極力、

避けなければなりません。

また、

唾液腺の萎縮による、

唾液の分泌量の低下から、

乾いた口腔環境が、

虫歯の多発を誘因します。

部分入れ歯の保持となる

残り少ない歯を

虫歯から守らねばなりません。

私の脳髄は、

部分入れ歯の設計の基本型を探し求めて

フル回転しています。

其れが私の現状です。