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総入れ歯治療の第1歩

先のブログにてお見せした

蝋の道具を使っての

治療の実際です。

下顎が噛みこんで、

上顎がキャッチする訳ですが、

この上顎の受け皿の平面を

患者さんの骨格から丈夫な部分を探して、

このように一致させます。

で、

女性は幾つになっても

美しくなければなりません!

そのためには、

上の前歯の位置が全てを決定します。

青い蝋は体温で柔らかくなる素材です。

唇と頬の裏側に

この青い蝋を張り着けて、

フェイシャルマッサージ。

元の形よりも、

随分とふっくらしたでしょう?

その後で、

下顎の噛む位置へと

そーと下顎を誘導します。

次回は、

この蝋を基準にして、

人工歯を埋めて、

見た目と噛み合わせチェックです。

 

 

花形役者

先日、新神戸駅の書店で、

何気なく見つけた本。

私は勘三郎が好きでした。

陽気で、

勘の鋭い花形役者だったと思います。

舞台前の、この表情。

良い顔じゃあないですか?

これが正しくプロの顔だと思います。

基本を大切に

先般、ご報告した新患の女性の治療における

最初の【関所】を

今日迎えます。

この患者さんは

インプラント治療の選択ミスの代表例とも言えるでしょう。

一口腔単位の治療においては、

総入れ歯の治療が基本と言えます。

総入れ歯の治療の進め方に準じて、

総論的な治療の流れを創り、

その流れのなかに、

虫歯や歯周病の治療を

取り込んで行きます。

口腔全体の歯型を2回に渡って

採取して、

このような道具が造ります。

 

この赤色の部分は蝋でできています。

この蝋を足したり、削ったりして、

人工歯を並べるガイドとします。

下顎の奥歯にヘンテコなクラウンが入っています。

この考え無しの修復に惑わされないことが大切です。

噛み合わせを創りだす際において、

上のガイドが特に大切です。

動く下顎が帰る家みたいなモノですから。

午後の一番から夕刻まで、

じっくりと考える修復治療をと。

 

粛々と治療は進む

以前、ご報告した【あの患者さん】です。

ここまで治療は進みました。

下顎には、

チタン製の特注アバットメントが完成し、

第1回目の仮歯が完成しました。

上顎には仮の総入れ歯にて。

なぜ上顎にインプラントを選択しなかったのか?

それは無意味だからです。

この患者さんの場合、

上顎には総入れ歯が最適だと判断したのです。

総入れ歯でも、

何でも食べることができるでしょう。

総入れ歯の方が、

審美的にも美しい頬と唇を創れるでしょう。

総入れ歯の方が、

超高齢者になった際に、

メンテナンスが楽でしょう。

対して、

下顎にインプラントを選択した訳は?

顎の位置が定まらない症例です。

下顎にシッカリと固定された修復物を利用して、

この患者さん本来の顎の位置を

見つけなければなりません。

私は歯科治療において、

【下顎の位置】を最重要視しています。

私の歯科治療の進め方は一貫しています。

様々な問題を抱えた症例においても、

単に虫歯の治療においても、

炎症のコントロールと、

力のコントロールとを、

下顎の安定した位置を探しながら、

順次、整理して進めてゆくのです。

 

 

青春

息子の助手席ほど

恐ろしいものはありません。

彼は私の修理工としての腕前を

本当に信じているのでしょうか?

自身の手で組み立てたと云う自負は在りますが、

街なかの車道を

足がわりに使う程度にしか

考えてはいませんでした。

オールドアルファほど美しい自動車はありません。

神戸から大阪近辺に、

同種の自動車はこの1台だけになったそうです。

屋根全開に駆け走る

オールドアルファのハンドルを握る息子は

青春を満喫しているようです。

横顔を眺めながら、

引き継いだ血を感じつつ、

車体がバラバラにならぬかと、

ドアノブをシッカリと握る私です。

 

 

美しい女性

この歯型は、

最終入れ歯の製作のためのモノではありません。

仮の総入れ歯のための歯型です。

仮の総入れ歯を

如何に丁寧に、正確に、

創りあげるかで、

総入れ歯の完成度が決まります。

総入れ歯ですから、

歯は全くありません。

お口にも張りはありません。

無から全てを創りあげる。

これが総入れ歯治療です。

入れ歯がガタガタいっては噛めません。

入れ歯が痛ければ噛めません。

老人のようなお顔になって欲しくありません。

可愛い素敵な女性であって欲しいです。

だから、

私は知恵を搾るんです。

さて、

ここからがスタートです。

また美しい女性がお一人増えるでしょう。

瞬間芸

仮の総入れ歯を造り始めた治療風景です。

患者さんの脇で、

手当ての下ごしらえです。

普通のクラウンの治療の際には、

【歯型を採る】と表現しますが、

入れ歯の際には、

【歯型を創る】と、

私は表現しています。

無からの創造ですから。

タイミングを見計らって、

【瞬間芸】です。

皆さん、患者は入れ歯を経験しています。

が、

私の入れ歯造りの手法は

観たこと、

されてこと、

全く初体験であるそうな。

ビックリされて居られます。

で、

一生懸命に治療について来て下さいます。

師匠

今は朝の6時を少し回った処です。

読みかけの本の続きをと、

その前に昨日、

東京音楽大学の武田真理教授へ送った

プレゼントにまつわる物語が

鮮明に思い出され、

心暖まり、

珈琲でもと。

プレゼントの中身はCDです。

武田真理教授の御母堂である

武田弘子先生が自ら作曲し、

貸し切りのスタジオで、

私の目の前で演奏し、

プロが録音したモノです。

私がこの診療所を新築した際に、

ホームページを一新させました。

現在のホームページの前のモノです。

このホームページのバックに流れていた

あの曲が、

武田宏子先生の曲だったのです。

武田宏子先生はクラシックピアノ界の巨星でした。

活躍するプロの殆どが、

先生のお弟子さんであり、

プロピアニストで

武田宏子の名前を知らない人は居ないでしょう。

私の診療所の新築を先生は、

自分のことのように喜んで下さいました。

なんせ私の若い時分から、

ずっと患者さん目線で、

私を見守って下さっていたからです。

先生はブローネマルクインプラントの

四国第1号患者でもありました。

当時はお住まいは東京でいらっしゃいました。

私と患者としての付き合いは

四半期になりましょう。

私の歯科医師としての歴史を

側で観て、

で、

私のために曲を創ったのだそうな。

再び、

ホームページのバックに曲を流そうと思います。

先生は優しい温かい眼で、

私を見守って下さったのだなと。

が、

プロの眼で、

息子のようにショッチュウ注意され、

日々の過ごし方を怒られたのも思い出されます。

曲から、

先生が私を応援して下さっているのが

肌で伝わります。

昨冬、

先生は天に召されました。

私が先生を忘れる事は生涯ありません。

歯科医師以外でただ1人の師匠ですから。

 

励む

午前中に歯周外科を、

お昼前から今は午後の2時半ですが、

奥歯のダイレクトボンディング修復を行っていました。

詰め物の脇に、

ひびが入って、

歯の内部に大きな空洞ができています。

綺麗に虫歯を取り除きます。

一部、

虫歯が神経に達しています。

心配無用です。

三枝メソッドにて、

神経を保護します。

で、

ダイレクトボンディング修復。

神経の保護も行いましたので、

疲れました。

細かな形態修正と研磨は次回。

次の患者さんは部分入れ歯の調整です。

その後直ぐに、

上顎全体にインプラントを埋めこんだ患者さんの

修復物のセットです。

長くなりそうです。

これが私の今日1日です。

私にできる事と云えば、

誠実に、

丁寧な、

手当てをするだけです。

患者さんが喜んで下さいますから、

私も一生懸命に励めます。

患者さんも

長時間の治療に頑張って下さいますから、

私も一層励めます。

ただ一生懸命

私には殆ど私物がありません。

泥棒もビックリするほど、

私には私物がありません。

東北大震災の直後、

かの凍った大地に立つ私の

人生観なり価値観は一転したのです。

腕時計も1つきり。

洋服にも頓着しなくなりました。

靴や雑貨の類いもそうです。

そのような中、

息子から電話が入りました。

息子が幼い頃から新潟へと出向くまでの、

あるいは社会人となった娘の幼い頃の、

今の幼い娘たちが生まれて成長するまでの、

ビデオテープを観たそうな。

父ちゃんは良い父親になろうとしてたんやな。

ポツリと息子が言いました。

私のような単細胞には

よく判りません。

ただ仕事においても、

何事においても、

一生懸命であったと。